ラノベ感想:継母の連れ子が元カノだった4 ファースト・キスが布告する

読書,ライトノベル,ラブコメ,学園,紙城境介,連れカノ

最近はアニメが多いですが、続き物も多いです。前のシーズンを見ていない作品を途中から見るのもなんなので、数少ないまったくの新作を見ることが多い今日この頃。2022年夏アニメで放送されたのをたまたま見て、コミカライズから原作まで手を出して4巻目。一番気に入って原作まで手を出そうというきっかけになったのがこの巻のエピソードである帰省の話。年末年始にKindleのキャンペーンで買ったまま積読消化に手間取ってようやく読了。やっとここまでたどり着きましたが、いや、読んでてよかった。

あらすじ

伊理戸家の夏は父親の実家への帰省。今年は新しく増えた家族のお披露目も兼ねた大事なイベント。田舎のお盆は親戚も集まるが、水斗はここでもいつも通り。そんな親戚にはとこの大学生、円香も。結女は円香に対する態度から、水斗の初恋の相手ではないかと感じて一人モヤモヤ。

水斗の読書好きの原点になった書斎と父の祖父による自伝、河原での水遊び、関係がおかしくなっていけなかった浴衣で夏祭というイベントを重ね、結女はついに自分の想いに気づく…

伊理戸結女が布告する

なかなかインパクトのあるサブタイトル。誰が?誰に?どうやって?それは読んでのお楽しみ。

本作は主に水斗や結女の視点で描かれることが多く、たまに他の登場人物の視点になります。が、今回はイメージ的に結女視点が多めだった感じ。今巻に限っては主役は「伊理戸」結女だったと。もう一人の結女である東頭とは対照的な選択が描かれました。やはり、行動しないと何も動かないし、得るものもないのですね。

戦争経験

今回、キーポイントになるのが水斗の曽祖父が書いた自伝。森鴎外の舞姫になぞらえたシベリア抑留時のロシア人女性との想い出。故郷に残した許嫁や家族のことを考え日本に戻る決断をした曽祖父。自伝の最後の一文は「引き止めてほしかった」

多分、どちらを選んでも同じような後悔を抱くでしょう。自分がそういう性格だからかもしれませんが、こういうのは正解ないですよね。だから、この選択が正しかったと思うしかないし、そう思えなくなると心が折れる。曽祖父はもしかすると折れてしまったのかも。

それにしても、この手のラブコメ的なラノベで戦争の話が出てくるのは珍しいですね。作者氏の年齢とかわかりませんが、おそらく自分よりは若そうに思います。が、前の巻の「鍵っ子」の件と言い、なんか同じ世代?と思ってしまいます。

自分も祖父は戦争に行ってた世代。まあ、生まれる前に亡くなっているの会ったことはありませんが。父は戦中、母は戦後生まれなので、戦争とは接点はあまりない世代ですがそれでも多少は話を聞いてます。でも、自分より若い世代はそれ以上に縁が薄いですよね。それもあるし、どうしても暗い話になるので避ける傾向があるのかなと感じてますが、割と直球できてるなと。あとがきによればそれに近いエピソードが実際にあったようですが。

親戚の集まり

最近はどうなんでしょう。田舎ではまだありそうですが、都市部では少なそう。自分は帰省するような遠くの親戚がいないので帰省経験がないですが、帰省すればやはりこのような集まりはあるのでしょうか。

そんな自分でも、子供の頃は親戚が正月には自宅に集まったものです。当時は祖母の家に家蔵で住んでいたのと、父が末っ子ながら長男だったので正月に集まるとなると我が家というのが定番。自分は水斗というよりは竹真タイプでしたが、なんで家に?と思っていました。まあ、そういう親戚付き合いがあったのも親の世代まで。その世代が高齢になると集まらなくなってしまいましたが。

作中でも水斗が父親から「ありがとう」と言われてましたが、自分も父親から同じようなことを言われたことがあります。水斗は家事もできるし、しっかりはしてるので嫌なら残るという選択肢もあったかと思います。それでも、やはり自分の原点となったあの自伝を読みたかったのでしょうか。

そういう自分の原点みたいな作品ってありますよね。自分の場合はマンガですが小山田いくさんの「すくらっぷブック」です。子供の頃はあまりテレビもマンガとか見せてもらえず、マンガもほとんど読んでませんでしたが、これだけはずっと単行本を買ってました。他にも「ぶるうピーター」、「星のローカス」、「ウッド・ノート」とか。小説だと大河ドラマで見てる最中に父親が買ってた文庫本を見た「独眼竜政宗」でしょうか。その後、吉川英治の三国志や政宗つながりで山岡荘八の「春の坂道」など。たまに読み返したくなりますが、読みたい作品が色々あるのでなかなか読み返せません。

公式サイト

既刊感想