ラノベ感想・俺だけレベルが上がる世界で悪徳領主になっていたV

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ゲームの中らしき世界に転生する話は色々ありますが、珍しくストラテジー系ゲームに転生する本作品。あくまでゲーム内のプレイヤーとして天下統一を狙うというのも異世界ものの中ではやや異色な作品です。地方の一悪徳領主として転生?した主人公。ここまでに外国からの侵攻と王国の崩壊、新天地への移動を経てついに建国したのが前巻の最後。言わば第一部完というところで、Vからは第二部になります。

あらすじ

悪徳領主に転生したエルヒン・エイントリアンはついに新エイントリアン王国を建国。一領主の立場から王として世界統一に向けて動き出す。そんな中、宿敵ナルヤ王国はヘラルド王国を下し、次の矛先をケベル王国に向ける。ナルヤ王国VSケベル・エイントリアン両王国という形でついにエルヒンの国盗りが本格的に始動する。

俺だけがフラグを立てる世界でハーレムを築く?

新王国編がスタートしていよいよエルヒンの国盗りが始まります。今までは一領主の立場でしたが、これからは国王の立場。とはいえ、今回は表立っては前線に出ていないことになっていますが、実際には最前線。今後、戦略面はエルヒンが欠かせないとは言え、戦術・作戦面では代わりを務める司令官が育たないと戦略ものとしては成り立たないですが、どうなっていくのでしょう。

二人のバルデスカとの戦い

事実上、ナルヤ王国とエイントリアン王国の戦いとも言える今回の作戦。ナルヤ側の参謀としてフラン・バルデスカが立ち塞がります。つくづくぶつかり合う運命です。そこはまあ想定通りなのですが、今回エルヒン、そして読者をも混乱の坩堝に叩き落としたのが妹のメデリアン・バルデスカ。表紙を飾っていますね。表紙は今までエルヒンとヒロインのツーショットが多かったですが、こんな感じです。

巻数ヒロイン
1エルヒンとユラシア・ロゼルン
2エルヒンとユラシア・ロゼルン
3バルデスカ兄妹
4エルヒンとセレナ・ドフレ
5 エルヒンとメデリアン・バルデスカ
表紙登場人物

表紙ではまた二人が激突するのかと思いきや、カラー口絵では…。何やら意味深なシーンです。そこはまあ読んでのお楽しみですが、行動が読めないキャラです。セレナ・ドフレはエルヒン・オタクという以外のキャラ付けが弱い感じで、ユラシアのクセの強さには劣る部分がありましたが、クセの強さではメデリアンの方がはるかに上な感じ。セレナの明日はどっちだ?

このまま大義なき戦いを進めるのか?

前巻の感想にも書きましたが、エルヒンに大義がないのが弱いところ。プレイヤーとしてのエルヒンにとってはすべての国を統一して天下を取ること=ゲームクリアが目的なのは分かります。ただ、ゲームではない「現実」の世界の国民にとっては関係ないこと。その「現実」とのズレをどう埋めるのかなと思っていましたが、今のところそこは描かないよう。エイントリアン王国民やそのほか周辺諸国の国民から見ればやっていることはナルヤ王国と同じなわけで。

別にプレイヤーとしてのエルヒンが自分の趣味のために天下統一を目指すのは構わないのですが、自国の兵や国民をついて来させるための「立て付け」が必要なはずなんですよね。ゲームの中の世界だけに、国民は王にどこまでもついていくものなのかもしれませんが、民忠というパラメータがある世界なら、厭戦感情みたいな設定もあるはずな気もします。まあ、昔のその手のゲームみたいに金や兵糧を与えればいくらでもパラメータが上がる世界というならそれでもよいですけど。ただ、そういうゲームに慣れてない層から見ると違和感を感じないかな…。あまり感じないか。異世界ものは無双してればよいらしいし。

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