ラノベ感想:転生したらスライムだった件20

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一時の危機的状況を覆し、レオンを取り戻し、ミカエルを倒したリムルら魔王軍。しかし別の場所での天使軍の侵攻は続く。危機的状況だったミリム陣営と蟲型魔人の戦いはミリムの介入によって退けることに成功したかに見えたが、突如現れたヴェルザードによってミリムが暴走状態に。一方、神聖法皇国ルベリオスには巨人たちが迫り、魔道王朝サリオンには暴走ミリムが迫る中、天魔大戦の行方は…。

ギリギリの戦いが続く20巻、そしてリムルは…

今回もバトル主体ですが、リムルは前巻で登場していたので主に部下たちの戦いがメインです。冒頭に登場するのはミリム陣営+テンペストの援軍(ゲルドやガビル、ゴブタら)の戦い。そして、ルミナスのルベリオス軍+テンペストの援軍(シオン、アダルマンの不死軍団)の戦い。そこからさらにサリオン軍+テンペストの援軍(ベニマル他)と、場所も転々。そして最後にはリムルが…。

報連相が大事だよね

いわゆるビジネス分野で使われる「報告・連絡・相談」を略したものが報連相。仕事をする上での基本とも言われますが、最近は否定的な考え方をする方も多い様です。また、報連相を部下から上司への一方通行と考える人もまた多いよう。

前回、フェルドウェイのやり方に疑問を感じてミリム陣営に降ったオベーラにつづき、ザラリオまで天使軍から離脱する有様と、組織運営の面ではグダグダな天使軍。一方、元々は大手ゼネコン従業員だったリムルが関わる魔王軍は緩いながらも特にテンペストが報連相や組織で動くことを徹底しているせいもあって対照的です。

フェルドウェイに報連相の概念があるのか分かりませんが、仮にあったとしても部下からの報連相しか考えてなさそうです。今巻でもその辺でザラリオがかなりキレてますね。後のリムル絡みの筋書きからしても今回の流れはフェルドウェイの(何段か構えの)計画通りの様です。しかし、あらかじめ意図が知らされていないのではそりゃキレるのも分かります。

リムル以外の面々も活躍

今回大きく株を上げたのはミッドレイとベニマルでしょうか。ミッドレイは自称、ミリムの遊び相手。アニメ2期のクレイマン麾下の中指のヤムザとのくだりは記憶に新しいところ。存在値なぞ飾りという技量至上主義者です(過言)。ミリムがテンペストに居残り続ける原因の1人でもあります。ベニマルとのやりとりからも実力者であるとは思っていましたが、想像以上だったよう。

そしてもう1人がベニマル。前回の個人としての戦闘ではあまりいいところが見せられなかったものの、今回は総べるものとしての才能をいかんなく発揮していました。テンペストも幹部連では個の力を重視する人が多い印象なので、個でもかなりの実力がある上に、集団を率いる力もあるというまさにNo.2の存在に成長しつつある様です。シエル先生に危険視されなようにしないといけないですね。

その他の面々も地味?に活躍しています。その中でもお気に入りがゲルドの以下のシーン。いや、ゲルドらしい。

それでもゲルドは立っていた。
前を向き、ピリオドから視線を逸らさないのだ。
喧嘩は目を逸らした方が負けるーという、リムルの言葉を愚直に守っていたのである。
それは飲んだ席での軽口みたいなものだったのだが、ゲルドにとっては至言であった。それがたとえ本当でなかろうとも、自らの力で真実に変えればいいと考えている。それが、ゲルドという漢(オトコ)なのだった。

第一章 最初の決戦 より

正直、リムルはゲルドがこういう漢であることは分かっているはずなので、酔った上での話だとしてもこういうことを言わない方がよいのですが。シエル先生あたりにはリムルに猛省を促してほしいところではありますが、ゲルドを現すエピソードとしてはこれに勝るものはないかと感じます。

続シエル無双

前回も裏で暗躍?していたシエル先生。今回も色々とやらかしていたのが分かりました。今回も「天の声」を聞いた人が多数いました。と言うか、ミカエル絡みで天使側ともやり取りできるとか反則では?

そんなわけで今回も趣味と実益を兼ねたスキル魔改造を繰り返すは、裏でリムルの余剰パワーをベニマルに回していたりと無双しまくり。個人的にはシエル先生はお気に入りなので問題ないです。一部考察ではシエル先生の正体についての話も色々出ているよう。その辺に関係するかな、と思われる描写が以下の部分。

究極能力(アルティメットスキル)というのは、普通なら獲得するのも困難極まりないような代物なのだ。それこそ体感時間にして数百億年以上も生きているザラリオが、ようやく自力で獲得したほどに。
その存在は知ってはいたが、自分には不要だとも思っていた。だから獲得出来なかっただけかもしれないが、それにしてもだ。
(簡単に獲得出来ないのは事実。それを、こうもアッサリと改変するだと?あり得るのか?!というか、そんな真似を行えるのはー)
そこまで考えて、ゾッとするザラリオである。
究極能力(アルティメットスキル)というのは、創造主たるヴェルダナーヴァが世界を管理する為に創り上げたシステムだ。管理者権限があれば代用出来るものの、より便利に特化した権能があれば、それこそ神の如き力を行使可能なのである。

第四章 神樹攻防戦 より

という訳で、システムの根幹に関わる様なことを「趣味と実益を兼ねて」サクッと改変してしまうシエル先生も、八星魔王一同から「出鱈目」と称されるリムル以上に出鱈目な存在です。まあ、リムルの出鱈目さの根源の半分はシエル先生にあるので、当たり前なのですが。残り半分は三上悟としての常識ですね。

なおシエル先生は「大賢者(エイチアルモノ)」時代から非常識で、そもそも稚拙とは言えリムル(三上悟)と受け応えできたのも「世界の言葉」機能を流用しての自己改造というのだから出鱈目です。さらに、リムルが魔王覚醒した際にはリムルの願いがあったとはいえスキルである「大賢者(エイチアルモノ)」が同じスキルの「変質者(ウツロウモノ)」を統合(イケニエ)にして進化に挑戦するという出鱈目さ。つまり、「世界の言葉」にスキルである「大賢者(エイチアルモノ)」が何らかの手段で干渉できるという。その結果生まれたのが究極能力(アルティメットスキル)である「智慧之王(ラファエル)」です。

そして15巻で「シエル」と名付けしたことで生まれた変化も出鱈目でした。おかげで、夜中にシエル先生の誕生からラストまで再読してしまいました。

今後

天魔大戦もあと1巻か2巻でしょうか。この後のリムルの国作りも見て行きたいのですが、終わってしまうのでしょうか。「蜘蛛ですが、何か?」が完結し、「本好きの下剋上」もラストが見えてきている状況で、さらに転スラまで終わってしまうとだいぶ寂しくなってしまいます。いくつか読んでみようかというシリーズもあるのですけど。

その話はまだ少し早いので話を戻します。帝国が攻めてきた時もすわリムルの危機かと思った次の巻であっさりと無双してたりするので、今回の危機も結構あっさりと解決してしまったり。どういう形であれ、魔王軍側が勝たないと話になりませんからその辺りはあまり心配していないのですが、どう自然な流れで結論に持っていくかが楽しみです。

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2023-11-03読書ライトノベル,伏瀬,異世界,転スラ

Posted by woinary