ラノベ感想:蜘蛛ですが、なにか?6

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異世界最大の迷宮上層部で蜘蛛に転生した「私」。成り行きで和解した魔王と、一緒に行動することになった吸血鬼主従と凸凹パーティを結成してひとまずサリエーラ国の首都を目指すが…。

あらすじ

オウツ国とサリエーラ国の戦乱に巻き込まれ(引き起こし)、そのどさくさにソフィアを殺そうとしていたポティマスを魔王の助力もあって退けた「私」。突然和解を申し出てきた魔王と、ソフィア、メラゾフィス主従と共にサリエーラ国の首都まで旅することに。

前世と今世の二重の因縁でわだかまりを捨てられないソフィアと多くを語らない(コミュ障なので語れない)蜘蛛子さん。ギクシャクした旅が続くが、魔王を触媒として関係に変化が…。

一方、人族最強の魔法使い、ロナントはかつてなすすべなく逃げることしかできなかった「迷宮の悪夢」に弟子入りすべく、最後に悪夢が出たと思われるオウツ国が占領したケナン領にきていた。鍵はエルロー大迷宮にあるとみて、一人迷宮に向かったが…。

バトル控えめ人情てんこ盛りの第6巻

理解と絆を育む凸凹パーティ

この4人の関係性がお気に入りです。一番経験豊富で気遣いもできる魔王、自分勝手なんだけどなぜか良い方向に転がる白、同じくコミュ障だけど絆が欲しいソフィア、お嬢様が大事だけどまだ割り切れないメラゾフィス。

魔王曰くコミュ障で人と関わりを持ちたがらないくせに人たらしな白ちゃん。基本自分勝手なんだけど、困っている人がいればなんだかんだで結局見捨てられない。まだ多くは語られていませんが、敵対する転生者にも手を出さないことを徹底しています。それが善意なのか野望のためかわかりませんが。もっとも、勇者一行の恨みをかっているのですけど。
そして、その行動が結果的に良い方向に転ぶという不思議。例えば、並列意思たちを放置した挙句に起きた本体対並列意思9体の騒乱も、それによって結局は真言教によるサリエーラ国侵攻を止めることになります。まあ、ソフィアたちは魔属領へ向かうことになったので、戦乱に巻き込まれることはなかったでしょうが。

魔王は魔王で裏で色々思惑があることとはいえ、なんだかんだで面倒見が良いです。ダスティンとの2度の邂逅のエピソードも良かったです。

なんだかんだでこう言う擬似家族ものは大好物なので、今までで一番楽しめた気がします。

野生の爺

一方、この6巻でもう一人目立ったのが人属最強の魔法使い、ロナント。こちらも自分勝手に暴走しまくりますが、最終的には蜘蛛軍団を撃退し(たことになり)、先代勇者ユリウスを弟子に取ることになります。そのきっかけは、単に服を取りに戻っただけですからね。

5巻のあとがきに予告がありましたが、爺の想像を絶する暴走ぶりに笑ってしまいました。並列意思たちを困惑させるだけでなく、あの管理者ギュリギュリすら困惑させたのですから。彼を困惑させたのは白とロナントくらいなんじゃないでしょうか。もちろん、Dは別枠ですけど。
白は転生者であり、色々考え方の根本が違うのである意味当然ですが、ロナントはあの世界の人間ですから。その友であり、この話の発端ともなった先先代勇者とも縁のある先先代剣帝もあの件に関わってるのではないかと思っているのですが、はて、どうなのでしょう。

白ちゃんの本音

白とアリエルとキュリギュリの飲み会で、白が語った言葉。

他人がどうこう言おうが何しようが、一番大事なのは自分がどうしたいのかでしょ

その一方でこうも語っています。

今の私はもう生き残ることに必死になる必要はない。
問題なく生きられるだけの力を得た。
そろそろ、誇りのために生きてもいい頃だと思う。

まあ、翌日には忘れてるんですけどね。誇りとまで言うとなんかすごく大層なもののようでそんな大それたものと思ってしまいますが、何か芯になるものは欲しいですね。まあ、そんなものが簡単に見つかれば世話がないのですが。

余談

今回はお試し版がだいぶ短くて良かったです。もっとも、コミックは追いかけている作品で、アニメも見たのですが。

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Posted by woinary