ラノベ感想:天才王子の赤字国家再生術3 ~そうだ、売国しよう~

読書,ライトノベル,国家経営,異世界,鳥羽徹

現在(2022年3月)、アニメ放映中。前巻はアニメの3〜5話、今巻はアニメの6〜7話に相当。

あらすじ

国内の反乱分子の炙り出しをすすめるものの、いまいち成果が出ないウェイン。そんな中、マーデン王国に電撃侵攻して滅亡させたカバリヌ王国からウェインへの招待状が来る。

カバリヌ王は西側諸国が信仰するレベティア教の有力者、選聖侯の一人であり、折しもカバリヌ王都ではその選聖侯が集まる会議も催される。そんな中、小国ナトラの王太子が呼ばれる理由が読めない中、断るわけもいかずにカバリヌへ向かうウェイン一行。しかし、謎の武装集団に襲われ、その挙句に因縁深いマーデン残党軍と邂逅することに。

西側有力者たちとの顔合わせや、カバリヌ王国とマーデン残党軍のどちらと手を組むかといった外交問題に、ウェインはどう回答するのか?!

旧マーデン領と選聖侯をめぐる騒動と西側諸国の人間模様

そんなわけで、前回は東の帝国との話でしたが、今回は西側諸国との話になります。西側は群雄割拠の状態ですが、宗教だけはほぼレベティア教に統一されているようです。一方ナトラ王家は西側出身ですが、ナトラ自体は東の帝国との結びつきが強く、レベティア教がフラム人を差別していることもあって東寄りの立場です。

曲者揃いの選聖侯たち

今回登場するのが選聖侯ですが、ウェインとのやりとりがあるのはカバリヌ王を含めて4人で、残り3人はまだ謎の存在です。まあ、その4人が4人ともクセが強いというか、アクが強いというか。そういう意味ではカバリヌ王オルドラッセはまだクセが薄い方かとも思います。なかなか問題だらけの人物ではありますが。いや、やっぱりクセ強か。でも他の3人が相当クセが強いから、オルドラッセくらいだと薄く感じてしまうという。今巻限りの登場ですし。

そのオルドラッセも国家経営に破綻が迫っていたくらいで、他の3人はよく国歌とか教団を運営できるなと不思議に思います。大国、大きな組織だけに優秀な人材が多いのでしょうか。カバリヌにしても、オルドラッセ王の民からの評判は必ずしも(実態を知らないので)悪くなかったようですし。

マーデン残党軍

表立って出てくるのは「ヘルムート王子」とゼノ、ジーヴァのみなので、国家としてやっていけるのかというあたりは非常に微妙なマーデン。3巻開始時点では旧マーデン領のうち金山周辺がナトラ領、それ以外がカバリヌ領なのでしょうか。その後、3巻ラストでナトラ・マーデン連合軍とカバリヌが和睦したのですが、その条件がカバリヌ側の賠償金支払いと、旧マーデン領の大半から手を引くということなので、一部、カバリヌ側に残る旧マーデン領もあるのかと思いますが、そもそも統治機構がほぼ壊滅した旧マーデンが国政を担えるのか怪しいですし。主だった人物が作中ではゼノヴィア王女とジーヴァしかいませんし。出てこないだけで、全くいないわけではないのでしょうが。

そういう意味では、ウェインのマーデンを西への防波堤にしようとする思惑も、ちょっと考えが足りない気はします。もっとも、ナトラ本国も含め本来は人材不足も甚だしいはずなので、その辺は描かれていないだけで、ウェインが手を打っている、ということにしておきましょう。その辺りまで丁寧に描くと「現実主義勇者の王国再建記」になってしまいますし。

ウェインの西側への想い

アニメはもちろん、コミックでも出てなかった話が原作にはありました。実はウェインが帝国に留学する前に、ウェイン原案で執筆はフラム人のゴーストライターによる貴族のあり方に関する本を書いて、西側に広めていたという件。貴族は素晴らしい、貴族は良いと全肯定した挙句に、金勘定なんて貴族のするものではないと断じることで、放蕩貴族を増やそうという作戦とか。実際、結構売れているようです。その印税は入ってこないのですかね?

これ自体は嫌がらせのような手の一つにすぎず、これだけで効果を出そうというものではないらしいですが、ウェインの西側への想いが窺い知れます。そりゃ、カルドメリアと気が合うわけです。(もっとも、カルドメリアとは根本的に違いますけど)

前巻ラストでも、ロアの回想と想像という形でウェインの想いが語られていましたが、果たしてウェインの本当の思惑はどこにあるのでしょう。

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