ラノベ感想:転生王女と天才令嬢の魔法革命 2

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アニメを気に入ってコミカライズから原作に入るパターンを何作か続けてます。本作もその一つ。ただ、他に読んでたシリーズものを先にしていたのでちょっとご無沙汰になってしまいました。2巻はアニメ後半に該当するかと思います。

あらすじ

ユフィを離宮に引き取り共同生活をはじめたアニス。倒したドラゴンの魔石を研究していたが、そもそもの騒動の発端になったレイニを取り巻く人間関係がまるで霧の中。あまりに不自然な状況に王城に呼ばれたレイニに事情を聞く王家の面々。そこでアニスは彼女がただの人間ではないことに気づく。

レイニの正体や婚約破棄騒動の真実とともに、その裏で蠢く黒幕の魔の手がアニスたちに徐々に迫ってくる…

ここまでがプロローグ、1巻と事実上の前後編

自分は1巻と2巻の間が開いてしまいましたが、できればこの2冊はまとめて読むことをお勧め。一応、各巻独立した話ではありますが関連性が強いですし、事実上の前後編と思って良いかと思います。

ちょっと切ない、仲がよいが上の最悪の姉弟喧嘩

兄弟は他人の始まりとも言いますが、この姉弟はとても仲がよかったのでしょうね。その辺りは回想シーンで少し描かれています。それが故にちょっとしたボタンのかけ違いから引き裂かれた姉弟。これもこの国の体制の問題でしょうか。

王政というと王に絶対の権力があると思いがちですが、実際にはそうでもなかったりします。例えば、2022年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では源頼朝の挙兵あたりから政子の演説で有名な承久の乱までのおよそ40年を描いています。見た人ならご存知でしょうが、源頼朝ですら多くのことを1人では決められず、その後の頼家、実朝時代は御家人たちによる合議制です。

それは同じ頃の西洋の中世貴族社会も同様。この世界の政治形態はわかりませんが、作中での記載からは王家を中心とした貴族社会のようです。王家がたびたび有力貴族の干渉を受けているようですし、アルガルド王子とマゼンダ公爵家のユフィリアの政略結婚が必要なあたり、有力貴族がかなり幅を利かせている感じです。

そういった姉弟の関係や王家の立場といった背景を踏まえた上で、最後のシーンは良かったです。

明言されてないが故に想像の幅が広がるアルガルドの真意

事実上の前後編たる前編で描かれたのがアニスとユフィの出会いと2人に生まれた絆なら、後編では断たれたアニスとアルの絆とふたりのそれぞれの想いが描かれたと感じます。

アルの真意は明確には書かれていません。もちろん、バトル中や事後に想いが語られています。しかし、とくにバトル中のものはどこまでが真意だったのか。改心したのかもしれないし、心の奥の本心に気付いたのかもしれないし、最初からそのつもりだったのかもしれないし…と、その解釈は人それぞれかと思います。

個人的には半ば自暴自棄ながら、最後には姉がなんとかしてくれると想っていた、と思いたい。

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