ラノベ感想:本好きの下克上 第五部 女神の化身V

読書,ライトノベル,異世界,香月美夜

サブタイトルつけると長すぎるので外してます。正しくは 本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身5」です。短編集や外伝を除いた本編では通算で26巻目になります。

今回は領主会議がある春の話。王族の要請で星結びの儀式と地下車庫の調査を行うことがツェントを巡る争いを激化させることになる話。

あらすじ

エーレンフェストに戻ったものの王族の要請で領主会議最後の貴族院での星結びの儀式で、ローゼマインが神殿長としてジギスヴァルト王子に祝福を送ることになっているため貴族院へ向かうローゼマインたち。そこにたまたまやってきたディートリンデを避けるために森に出たローゼマインやハンネローレたちは不思議な祠を見つける。そこでローゼマインはツェントになるためのグルトリスハイト取得のための手順の一部に関わってしまう。争いに巻き込まれたくないローゼマインはその事実を隠すが、アナスタージウスやエグランティーヌに察知されてしまい全ての祠をめぐることに。その結果、ツェント候補になったローゼマリンを王族に取り込むべくエーレンフェストとローザマインに圧力をかけてくることに。

エーレンフェスト、そして、フェルディナンドのためにローザマインはジギスヴァルトとの直談判に挑む。

常識破りの商人聖女が面目躍如の第五部5巻

祠巡り

偶然が重なっての祠の発見。そこからローゼマインとエーレンフェストの運命の歯車が狂ってしまったというか、あるいは、動き出したというべきか。

と言うか、王族としても調査していることもあまり知られたくないことだし、そこに居ないはずの領主候補生が居ることを隠すために色々していたはずなので、図書館は閉鎖しているとか王族の要請で立ち入り禁止になっているとか、いくらでも理由はこじつけられたような。
まあ、警備員がいるわけではないので、ディートリンデが無理矢理押し入ればソランジュでは防ぐことは難しいでしょう。でも、オルタンシアなら対応できたのでは?

そこの強引さはともかく、なんとしてもグルトリスハイトが欲しい王族であるアナスタージウスとエグランティーヌの強引さもなかなか。こんな親密なら王族との親密なんて要らないと言いたくなるのも分かるので、保護者たちの王族と関わるなも理解できます。が、領地の順位が上がれば注目されるし、そうすると他領や王族からそれに見合った貢献を求められるのも仕方ありません。

ただ、エーレンフェスト側が何も知らなさすぎるのも気になります。王族も領主に力に見合った協力を求めるのであればそれを事あるごとに明示しないといけないと思うのですが、王族側が一度明言したからあとは領主一族で申し送りすれば良いと考えたのか、そもそも明言していなかったのか。ただ、順位の変動もあるし、政変もあったのだから、その辺は明言してないとおかしいと思うし、それでエーレンフェストの貢献が足りないってのも言いがかりに感じます。この物語全般に言える事ですが、色々な関係感のコミュニケーションロスと言うか断絶がすごいです。中世的な社会ではこう言うものなのかもしれませんが。平民でも職人系と商人系では違うし、神殿と平民、貴族と平民、貴族と神殿も違う。貴族でも領主も規模や順位でかなり違うし、王族と貴族も違う。で、基本身分社会なので上位から下位への押し付けが横行して要らぬ争乱が起きると。

商人聖女対第一王子

王族最優先のくせになんで変にローゼマインの率直な意見を許してしまったのでしょう。あんなことをせずに、とにかく王命で押し通せばあんなことにはならなかったでしょうに。

と言うわけで、ローゼマインの中央移動に伴っての直談判がローゼマイン本人とジギスヴァルト王子との間で非公式に行われます。結論から言うと、商人モードのスイッチが入ったローゼマインにコテンパンにやられるジギスヴァルト王子ですが、「率直な意見」とやらを聞いてしまったのが最大の敗因かと思います。まあ、そんなこと言っても多少は遠慮するだろうという思惑があったのかもしれません。何としてもローゼマインを取り込みたいのであまりに頭ごなしで心証を悪くして面従腹背されても困ると下心が出たのかもしれません。せめて、ローゼマインに少しは慣れているアナスタージウスも同席させればもう少し落ち着いて進められたかもしれませんが、やはりまだ確執があるのでしょうか。

まあ、ローゼマインが少なくともグルトリスハイトを王族に渡すか、他の入手方法を手に入れるまでは、王族はローゼマインに手を出せないので、そこはローゼマインの方が有利なのですが。

さて、第五部ここまでの1番の山場だと思うこの直談判。ここまでアニメ化するかわかりませんが、もしやるならまるまる1話使って欲しいくらいです。元々、バトルシーンがあまりない本作ですが、白熱のバトルだったかと思います。まあ、そう言うには最初から最後までローゼマインに圧倒されていたのですが。

懲りない第一王子

あまりの常識外の対応に混乱したジギスヴァルト王子。これで少しは無理難題を押し付けるやり方を少しは反省するか、と思いましたが無理だったようです。

巻末短編でジギスヴァルトとアドルフィーネの話がありますが、アドルフィーネが不満たらたらな経緯を見ると、あまり反省はしていない模様。今まで体感したことなかったローゼマインペースの交渉に呑まれてしまっただけみたいです。

その点では、よりローザマインと親密そうに見えるアナスタージウスからして祠巡りの強要とか、王族は王族というところでしょうか。もちろん、それだけ切羽詰まってることもあるし、そもそも付き合いの多い大領地はともかく、中小領地なんて現状も知らないし、興味もないのでしょうけど。

まだまだ波乱が続きそう

直談判によって今後の方向性は決まりました。があくまでそれだけ。それを実現するには様々な課題があります。第五部でいよいよ立ち塞がってくるかと思われたゲオルギーネもまだ大人しく、一見するとディートリンデに振り回されているようにすら見えますが、こんなものではないでしょう。まだまだ波乱は続きそうです。

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