ラノベ感想:本好きの下克上 第五部 女神の化身VIII

読書,ライトノベル,異世界,香月美夜

サブタイトルつけると長すぎるので外してます。正しくは 本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身8」です。短編集や外伝を除いた本編では通算で29巻目になります。今巻でラストなのかと勝手に思ってたのですが、話の半分くらいで、30巻目が発売されます。

今までの巻の内部時間は数ヶ月から半年くらいのタイムスパンがあったかと思いますが、今回は前巻ラストから数日くらいでしょうか。そういう非常に密度が高い、クライマックスの前半戦になっています。で、肝心の後半戦である通算30巻目、女神の化身IXは2022年8月発売予定です。前回もすわ!ってところで終わっての3ヶ月ですが、今回もまた話の後半を残して4ヶ月ですよ。

あらすじ

フェルディナンドの危機を知ったローゼマインはジルヴェスターからフェルディナンドを救う許可をもぎ取り、実現に向けて動き始める。そこに、事あることを予期して準備していたフェルディナンド自身の手配でエックハルトとユストクスも合流する。フェルディナンドを救うためなら、王族だろうと神々だろうと敵に回すと公言して憚らないローゼマインが、ディッター大好きダンケルフェルガーも巻き込んでついに動き出す。

思えばままならない人生だった

と愚痴みたいですが、作中でローゼマインが過去を振り返って、今まで思ったことなんて何もできなかったと回想しています。まあ、あれだけ好き勝手やってるじゃないかという気持ちもありますけど(笑)。

そもそも前世では地震で崩れた本と本棚で死んでしまい、生まれ変わった体は病弱というか身喰いという存在。家族で暮らしたいと思ってもその力と影響力が目をつけられて領主の娘となり、さらには望まぬ中で王族とも関わりを持つというままならない人生。通算29冊、色々なことがありました。タイトル通りの下剋上ですが、別に本人は下克上をしたかったわけでもなく。ま、自分の望みのためには下剋上したことが結果的には良かったのではないかと。

元のマインがどうなったのかよく分かりませんが、普通だったらそのまま亡くなっていたと考えられます。そして、マインやローゼマインによって人生が変わった人たちもたくさんいるでしょう。良い意味でも、悪い意味でも。それを考えると、タイムリープものの定番では時間改変を許さない方向への見えない力が働いたり、歴史を変えないようにという制限が入りますが、転生ものはなんでもありですね。これだけ転生ものがある中で、そう言う改変を許さない方向の力が働く作品はないのでしょうか。

話を戻して…。とは言え、エーレンフェストの事情とか、王族の事情とか、色々考慮して動いてはいたかと思います。知識や興味がなくて優先順位とか色々おかしな部分はありましたが。そんなローゼマインがついに全ての制約を取っ払って想いのために行動するのですから、ローゼマインも読者のこちらも想いもひとしおです。

死にかけたら、弟子が暴走していた件

さて、そのフェルディナンド。意識が戻れば何かを飲まされていて、話を聞けば事態が想定外の方向にぶっ飛んでいるのですからお悔やみ申し上げます。ま、半分、ローゼマインは確信犯ですが。と言うか、本気でローゼマインが「何もしない」選択をすると思ったのでしょうか。本気で思っていたのなら、わかっているようで全然わかってない、という事になります。まあ、何もできないと思っていたのかもしれませんし、そもそも異世界人の思考なんてわからないか。

作中にもある通り、報連相は大事です。リスク管理も大事です。フェルディナンドは(ローゼマインも)マーフィの法則は知らないでしょうけど。ローゼマインが暴走する可能性のあることは、必ず暴走するので。

しかし、事情を把握してからは早いこと。特に、ハルトムートとクラリッサを解き放ったところはやりすぎ感があるものの、わかっているなと感じてしまいます。巻末短編を読むと、ある意味フェルディナンドも良くも悪くも吹っ切れたようですので、後半戦や今後が楽しみです。

ディッター大好き、宴会も大好き

今回、嬉々として巻き込まれたダンケルフェルガーの騎士たち。実力は高いのでしょうが、ランツェナーヴェとの戦いの後に宴会を始めた挙句、ローゼマインに軽く一蹴されてシュンとなるのが可愛らしい。愛すべき脳筋。いや、褒めてます(多分)。

そんな人たちだからこそ、ローザマインのお誘いに乗って「本物のディッター」なんて話に乗っかってくれるのですが。正直、このノリでよく大領地としての権威を保持できたのか不思議ですが、以前は王を出したこともある歴史ある領地ゆえでしょうか。きっと、現在の第一夫人みたいに締める人がいたのでしょう。多分、女性ですね。

ローゼマイン以上にままならない人生だった

最後、軽くゲオルギーネの事情も語られていました。悪人ではあるのですが、彼女もヴェローニカの被害者とも言えます。まあ、あれはゲオルギーネ視点なので、美化されていたり都合の良いようにあれこれ解釈している可能性はあります。

現代でも相続とかで揉めることは多いので、中世貴族社会みたいなあの世界での領主一族の相続問題なんて、それはもう大変なものだったでしょう。単に領主一族の中だけの問題ではなく、その周りの側近や、果ては領民にまで影響する話なのですから。王族は王族で色々相続やらでやらかしてますし。血のつながりは良い結果を産むこともあれば、すれ違いで最悪の結果をもたらすこともある、と。まあ、血のつながりだけではなく、友人関係も、恋愛関係も皆同じか。

次巻は後半戦、話の終わりも見えてきたけどあと何巻?

今回はローゼマインとフェルディナンドの活躍がメインで、登場人物はやや少なめだったでしょうか。いつもは1つの巻の中で期間もあって、登場人物も多くて混乱することもあるため、分かりやすかった感はあります。群像劇好きだからいつもの展開も好きですが、たまには良いですね。

8月に出る30巻目は後半戦になります。戦いの場はエーレンフェストに映ります。ゲオルギーネがどれだけの戦力を動かしたか分かりませんが、ダンケルフェルガー有志を巻き込んでいる上に、孔明もかくやというフェルディナンド(どちらかというと司馬懿かな?)と、常識外れの戦略兵器であり戦術兵器でもあるローゼマインが居るのでエーレンフェストが有利でしょうか。巻末で出てきたギュンターやダームエルの活躍も期待されます。

しかし、これだけで30巻目は終わってしまいそうですので、その後の話でもう1巻で31巻目くらいまでは続くのでしょうか。先が見えてきたとは言え、まだあと何巻続くのかはよく分かりません。もうちょっと間隔短めに出てくれるとありがたいのですが。

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