買い物:Looto PAW S1(USB-DAC)
LootoのPAW S1というUSB-DACを買いました。最近、オーディオ熱は少し下がっていましたが、たまたま情報を見かけて、在庫があったので購入しました。
スマホで音楽を聴くのにもうちょっといい音で聴きたいという人には、やや高めですがおすすめです。
Looto PAW S1とは
PAW S1は、スマホやPCなどのUSB端子に繋いで、音楽を聴くための機器でUSB-DACという製品の一つになります。最近のスマホはイヤホンジャックが廃止されているものも増えてきて、それらのスマホではUSB端子に挿すイヤホンジャックが付属していたりします。
形はそれらのイヤホンジャックのイヤホンを指す部分が大きくなったものです。その部分にDACというものが入っています。デジタルアナログ変換の略で、スマホからのデジタル音楽データを、イヤホンで聞くことのできるアナログデータに変換してくれるものです。音楽を聞くだけなら単なるイヤホンジャックでも問題ありませんが、この大きくなったイヤホンを挿す部分に音楽用のICチップが入っているので、高音質で聴くことができるというものです。
今までこの手の製品は3.5ミリステレオイヤホンジャック、つまり普通のイヤホンジャックがついているものがほとんどでした。PAW S1は普通の3.5ミリステレオイヤホンジャックの他に4.4ミリのステレオイヤホンジャックもついています(同時使用不可)。本当は細かい違いがありますが、オーディオの世界によくあるオカルトの範疇に入るので割愛します。音質を良くするために複雑な仕組みを持っていてやや高めだが、音質が良くなる(かもしれない)もの、とでも思ってください。
出先や移動中に音楽を聴くための機器はいろいろなものが生まれては消えていきましたが、最近はデジカメと共にすっかりスマホに置き換わってしまった感があります。そんな状況ですが、デジカメがまだまだ生き残っているように、音楽プレイヤー(よくデジタルオーディオプレイヤーの略でDAPと呼ばれます)も一部ではしぶとく生き残っています。スマホで満足できない人がDAPを購入して使っており、自分もいくつかDAPを持っています。
しかし、音楽もAmazon MusicとかSportifyとかApple Musicといったストリーム配信系がメインになってきて、通信機能がないDAPでは聴けない状況です。そんな状況なのでAndroid OSを採用してストリーム配信用のアプリをインストールできるDAPも出ています。安いものは二、三万くらいから、高いものは数万、数十万レベルまでいろいろあります。
ただ、それらのDAPというのはスマホに比べると音楽以外の部分は性能が低いパーツを使っていることが多いし、Android OSのバージョンも古いことが多く、また、ネットワークに繋ぐのにセキュリティ更新もスマホほどはされないことも多いです。
ならばスマホにパーツを足して音質を良くしようというのがUSB-DACという製品群になり、PAW S1もその一つです。スマホを例に挙げましたが、PAW S1はWIndowsやMacOSにも対応しています。
早速試す…前にファームウェアアップデート
元のバージョンを確認しませんでしたが、PAW S1は何度かファームウェアのアップデートが行われているので、先にアップデートしておきます。おそらく、初期状態は1.0.0.4かと思います。現時点の最新は1.0.0.10ですが、ファームウェアの情報に一度1.0.0.0.8に上げてからアップデートするようにと買いてあるので、2段階でアップデートしました。
アップデート自体はZIPファイルをダウンロードして展開、それをPAW S1のFnキーを押しながらPCやMacに接続してUSBメモリのようにファイルを書き込める状態にした上で、展開したファイルの中身をコピーするだけです。ファイルを置けば数秒間アップデート中といったメッセージが出た後、バージョン番号とSuccessfulという成功のメッセージが出ます。
以上で準備は完了です。
まずはMacでAmazon Music HD
とりあえず、MacBookでAmazon Musicアプリを起動します。PAW S1を接続すればなんの操作もしなくても電源が入ります。ただ、この状態ではPAW S1の性能を活かせないので、 Audio MIDI設定アプリを起動します。すると、アプリにマイクやスピーカーと並んでPAW S1という項目があるかと思います。そこを選んで、出力タブのフォーマットを変更します。
PAW S1は384KHzまで対応しているので「2ch 32ビット整数 384.0KHz」を選択しました。もちろん、Amazon Music HD自体はそこまで対応していないのですが、まあ、気にしないことにします。
実際に音楽を再生するとPAW S1のモニタに再生周波数とビット数が(老眼には厳しい小さな字で)表示されるので、上の設定と一致していることを確認します。
で、実際に聴いてみました。今はDAPとしてShanlingというメーカーのM6 Proというものを使っていますが、そちらと遜色ない感じはします。音質の話を文章で書くのは難しいですけど。このサイズでこの値段で、ここまで聴ければよいかという気はします。
一応比較で、Onkyoの普通のステレオミニイヤホンで(1)MacBook直接と(2)PAW S1経由と、(3)PAW S1とSONY XBA-H3というイヤホンに4.4ミリジャックを繋いだもので3パターンで同じ曲を聴き比べてみました。サンプルは最近のお気に入りのtrueさんの「黎明」です。Amazon Music HDでの音質はHDなので、いわゆるCD音質です。
- まあ、普通のCD音質です。Macでイヤホン挿して音楽聴いたの初めてですが。
- ボーカルが演奏の中に埋もれずにきちんと聴こえる気がします。が、僅差ですね。
- イヤホンも違えばケーブルも違うので当然ですが、音楽の情報量が段違い。
せっかくなので、ULTRA HDの曲も聞いてみます。自分の聴く範囲ではあまりULTRA HDの曲がないのですが、YOASOBIさんの「群青」を選んでみました。ブルボンのアルフォートミニのCMソングにも使われました。
- 元データは24ビット/48KHzですが、外部ヘッドフォンのデフォルト設定は32ビット/48KHz。HDの曲よりは確かに音質よいです。(そもそものマスタリングとかも違うかもしれないので一概には言えないかもしれません)
- HD曲同様、僅差だけど音質よいかな?くらい。まあ、イヤホン側の限界かもしれません。
- ものが違うので当たり前だけど、やはり全く違います。
スマホで(OPPO Reno 10x Zoom)
続いてスマホで。特に設定変更とかは必要ありませんでした。このスマホにイヤホンジャックはないので、PAW S1とSONY XBA-H3のみです。
Amazon Music HDで「黎明」を聞いてみましたが、MacBookの時と同じ音量だと小さすぎたので、ボリュームを変えました。同じ機器使っていてなぜ違うのかと思いましたが、MacBookと違ってスマホのボリューム調整が効くようです。MacBookに限らず、普通はこの手の機器を接続した場合の音量調節は本体側ではできないイメージでしたので少々不思議です。
元のデータが同じで、端末との間はデジタル出力で、同じPAW S1とイヤホンで再生しているので、理論的にはMacBookと違いはないはずです。強いて言えば、USB端子の接続部分でノイズが乗る可能性はあるでしょうが、それがどこまで影響するものか。
と頭ではわかっていても、なんかMacBookより良いような…気のせいか。
Shanling M6 Proで
それなりの価格(中古購入ですが)のDAPに繋げてもあまり意味はないのですが、M6 ProはMQAというフォーマットに対応していません。PAW S1は対応しています。ただし、ファームウェアのアップデートが必要です。
いわゆるハイレゾ音源のファイルサイズはかなり大きいのですが、MQAではファイルサイズは抑えつつ、音質は良くする仕組みが入っています。小難しい話ですし、自分も全てを理解しているわけではないので細かい話は割愛します。
そもそも日本ではMQAデータの曲販売自体が少ないので、手持ちもあまりないですが、上白石萌音さんの「一縷」を聞いています。映画のテーマ曲ですが、その映画も見ました。
MQAは普通にFLAC形式が再生できる機器で再生できますが、この曲の場合48KHz/24ビットのFLACファイルとして再生されます。ファームウェアアップデート後のPAW S1では「MQA 48KHz/32b」と「MQA/4x」と表示されます。一応、192KHz相当ということになっています。
この表示が出ることでこのファイルがMQA形式であることがわかりますし、DAPからのデジタル出力がちゃんと曲データが出ていてPAW S1の方でMQAと認識できていることがわかります。
同じイヤホンですが、(1)M6 Pro直結と(2)PAW S1経由で比べてみました。Amazon Music HDではなく、M6 Proの標準プレイヤーでe-Onkyoミュージックで買ったMQAファイルの再生です。
- Amazon Music HDで言えばULTRA HD扱い。が、再生機器がMacBookやスマホと違い音楽特化したものですから、MacBookでULTRA HD聴くよりは良いです。
- 一見(一聞)遜色ない感じはしますが、流石に価格も違うのでMQAの音質への影響よりもプレイヤーの地力が勝るようで、直結の方が細かい音まで良く聞こえました。
音質以外のメリット
音質の話は半分オカルトなので、それ以外の話も少し書きます。
ボリュームがかなり細かく調整できます。スマホのボリュームは普通は10〜15段階くらいかと思います。ちょっと変えると大きすぎたり、小さすぎたりして、この中間が欲しいってことがよくあるかと思います。
特に電車の中とかでちょうどいい感じにならなくて困ったりしないでしょうか。自分はいつも苦労していました。小さくすると聞こえないし、大きくすると一気に大きくなったように感じて音漏れが心配、という感じでした。なので、割とノイズキャンセリングイヤホンを使ってました。あれならボリュームを下げても周りの音に埋もれてしまわないので、ボリュームを下げられます。
PAW S1は数字を1変えても、これ変わった?と違いがわからないくらい細かく調整可能です。そこまで必要かというくらいの100段階調整できますが、DAPもそれくらいのものが多いです。
ついでに、ゲインをH/Lの2段階で調整可能ですので、つなぐイヤホンやヘッドホンに応じて調整可能です。普通、スマホにはゲイン調整はありませんし、スマホの出力ではそもそもヘッドホンは出力不足になりそうですけど。
まとめ
普通のイヤホンを繋いで聴くことはできますが、真価を発揮するには4.4ミリジャックの方にそれなりの価格のイヤホンを繋ぐ必要があります。スマホでストリーム音楽配信の曲を良いヘッドホンやイヤホンで聴きたいというニッチな目的に使うものとしては、最も手軽かと思います。ま、イヤホンの効果かPAW S1の効果なのかははっきりしないところはありますが、そもそもPAW S1を使わないと接続できないものを使うためのものです。
Amazon Music HDに続いてSportifyやApple Musicも高音質データの配信を始める世の中になりました。が、それをスマホに普通のイヤホンで聞いてもあまり違いはわからないと思います。が、PAW S1とそれなりのイヤホンを使うと確かに違いがわかるので、せっかく高音質のストリーム配信を使うなら、この手のアイテムは必須になるかと思います。競合製品も出ているので、今後が楽しな分野ではあります。
現在は完全ワイヤレスイヤホン全盛で、有線のイヤホン自体が過去の遺物みたいな扱いです。が、Apple Musicなども追加料金なしで音質をよくすると発表していますし、せっかくのいい音を楽しむなら有線もありかと。
まあ、同じことをSONYのワイヤレスイヤホンの一部ではイヤホンだけでできてしまいますけどね。
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