iPhone13Proとコンデジを比べてみた
写真といえばデジカメよりスマホという時代になって久しいです。特にミラーレスが話題になる中、コンパクトデジカメ、略してコンデジの存在感は薄まる一方です。そんな昔のコンデジとiPhone13 Proを比較してみようという話になります。
比較対象は手持ちのコンデジということでSONYのCyber-shot RX100です。2012年発売のものなので10年前の製品になります。2000万画素で高級志向のコンデジの走りとなった製品で、その後シリーズ化されています。現行機は2年前に発売された「Cyber-shot DX100M7」になります。
結論:やはり餅は餅屋、写真はコンデジ
結局は使う人の好みによるので写真を見て判断してください、となります。がそれでは話にならないので個人の見解を書いておきます。
iPhoneはフォトグラフスタイルは標準設定なのでバランスをとっているはずなのですが、それでも際立つ鮮やかさ。写真としてパッと見でいい感じに見えるのは確かなのですが、ちょっと加工しすぎに感じます。
一方のRX100も空や海の青さはかなり加工された感じで写真だけ見た人が現地に行ったら詐欺じゃないかと怒り出すレベルですが、iPhoneよりは抑え気味です。iPhoneは鮮やかなのは良いですが、鮮やか側に持ち上げすぎて、写真が平板に感じます。RX100はiPhoneと比べるとやや暗めで地味な感じですが、明るいところと暗いところのメリハリが良いです。
RX100はイメージセンサもコンデジとしては大きい方で、かつ、スマホと比べれば格段に大きく、レンズも違うのでやはり写真はスマホではなくコンデジと感じさせてくれます。10年前の製品でも最新のスマホと比べても遜色ないです。画面の絵作りの派手さは必要ならば補正すれば良いだけなので気にしません。
なお、それぞれの画像データは撮って出しのJPEGファイルになります。トリミングや各種修正、レタッチはしていないものを掲載しています。
参考としてそれぞれの写真のスペックを載せておきます。焦点距離はいずれも35mm換算値になります。撮影はiPhone13 Proがオートモードで、フォトグラフスタイルは標準です。RX100はプレミアムオートを使用しています。
項目 | iPhone13 Pro | Cybers-hot RX100 |
---|---|---|
画像サイズ | 4032×3024(4:3) | 5472×3648(3:2) |
焦点距離(広角) | 26mm | 28mm |
焦点距離(望遠) | 77mm | 100mm |
それでは、同じ位置で撮った両者の写真を個別に見てみます。
コースカから広角で撮影
地元の原住民からするといまだにダイエーと言ってしまうイオン改めコースカの海側のテラスから広角で海自と米軍の基地を広角で撮影。焦点距離は26mmと28mmでほぼ同じですが、アスペクト比が違うために切り取った範囲は結構違います。
iPhone13 Pro
サムネイルサイズで見ると鮮やかさが目立ちます。海や空もそうですが、左のマンションや真ん中の海自の建物の白っぽい壁が目立ちます。左上に浮かんでる雲が補正しすぎで硬質に感じます。写真奥の雲も輪郭が随分と目立ちます。どちらの写真も海は青すぎ、空は青いだけでなくグラデーションもキツすぎの塗り絵ですが、特にiPhoneの写真上端の青空の嘘くささはひどいものです。あと、画面の端に近づくにつれて歪みがひどいです。左のマンションがやや前のめりですし、左手前の埠頭なんて立っていたら海に落ちてしまいそうです。26mm程度で地球の丸さを感じてしまう写真になっています。遠景には向きませんね。
等倍で見ることは少ないでしょうが、一応見てみます。左の公園から海に突き出しているデッキ部分の石垣がタイルを貼ったようです。中央海自の鉄塔の背後から左にかけての山の斜面の格子状の擁壁も立体感があまりありません。ぱっと見鮮やかで綺麗に見えるのですが、よくよく見るとアラが見えてきます。まあ、iPhoneの写真だけ見れば気にならないともいえますけど。流石に奥の護衛艦は等倍で見るとごちゃごちゃっとしてます。
RX100
空と海が青すぎなのはiPhone同様ですが、多少は落ち着いた感じでしょうか。iPhoneの明らかにコントラストをいじってる写真と比べると鮮やかさに劣り、地味で暗めに見えるのは人によっては欠点と見るかと思います。個人的にはiPhoneは持ち上げすぎてやや平板に感じてしまい、写真としてはRX100の方が好みです。派手にしたかったらレタッチすれば良いのですから。
等倍でもそのまま使えそうなのはイメージセンサの大きさやレンズの違いの賜物でしょうか。奥の護衛艦もくっきりと写っています。
コースカから望遠で
今度は同じ場所からの望遠撮影です。iPhoneは換算77mm、RX100は換算100mmと焦点距離はかなり違ってしまうのですが、そのまま比較します。
iPhone13 Pro
色や明るさの傾向は標準と同じです。RX100の写真よりやや左寄りになってしまいました。望遠だと流石に歪みはないようです。
等倍にするとやりすぎ感がより強く感じられます。奥の護衛艦がハリボテのようです。護衛艦のマストが背後の山の木々に埋もれている感じです。護衛艦の艦尾の旗も日の丸のようになっています。
77mmは一応望遠扱いではありますが、自分は航空機とか鉄道とかを撮っていたので望遠と言えば100mmが最低、300mmとか450mmが普通という感覚のため77mmは標準扱いの感覚です。
RX100
映る範囲が狭くなったためなのか、空のわざとらしさは軽減されています。
等倍では護衛艦のマストが背後の木々より手前にあるのが分かります。まあ、これは焦点距離の違いやレンズの大きさの差がものを言っているように感じます。護衛艦の旗は旭日旗であることがわかります。
ヴェルニー公園から望遠で
今度はヴェルニー公園から望遠で在日米軍基地方面です。
iPhone13 Pro
あまりに鮮やかすぎてチルト撮影したようなおもちゃ感が出ています。色合いについてはイメージエンジンの絵作りの問題がありますが、そもそもの傾向としてiPhoneはf2.8、シャッター速度1/1623と随分と開放に振り切った写真にする傾向があるようです。そうすると当然ボケやすくなるのでそこをイメージエンジンが補正しすぎておもちゃ感が出るのでしょうか。鮮やかでメリハリがあってパッと見では綺麗に見えるのですが、よくよく見ると違和感があります。
RX100
後から見て思いましたが、もうちょっと右に降ってガントリークレーンを含めた構図にすべきでした。後悔先に立たず。こちらはf7.1、シャッター速度1/800となっていて、まあ普通の設定かなと思います。iPhoneはフィルムカメラの感覚では絞り開放しすぎで、それに伴ってシャッター速度速過ぎな感じです。
おまけ:超広角
一番最初の写真と同じ位置で、iPhone13 Proの超広角(13mm)で撮影してみました。
広角でも空間の歪みを感じましたが、もはや空間歪曲です。広い範囲を撮ることができる超広角ですが、風景写真にはあまり向いていないようです。ビルの谷間とかで撮れば面白いのでしょうけど、正直、使い所に困る焦点距離です。
比較を終えて
久しぶりにコンデジを使いましたが、やはりスマホよりは良いことを再確認しました。もちろん、スマホは撮ってすぐにSNSにあげたりとか、メールやチャットツール等で知人に送ったりできる強みがあります。また、スマホの画面で見るにはパッと見鮮やかで綺麗に見えるかもしれません。そういう意味でスマホで十分という意見は理解できます。
ただ、iPhone13 Proの価格を考えると、ねぇ。高価なProだし、カメラ機能をあれだけ毎年強調しているiPhoneですら、10年前のコンデジと比べてカメラとしては(個人の判断によりますが)微妙というのはどうなのかと。まあ、写真はレンズやイメージセンサのサイズの影響も大きいので、あの小さくて薄いスマホになんでも押し込むのは無理があるとも言えます。
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