アップル嫌いがアップルシフトしたたった一つの理由

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少々扇情的なタイトルをつけてみました。PHSやPalm、ザウルスから始まった我がガジェット人生で、長年敵としてきたApple社。そんなApple社といかに(一方的に)和解してアップルシフトに至ったか。その辺をまとめてみました。

アップルはじめました

正確に言えば、まだ日本ではソフトバンクしか扱ってなかった頃にiPhoneを試したことはあります。ただ、敵を知るには必要と思ってiPhoneも使ってみただけで、メインはあくまでAndroid端末でした。

MacBook Airも一度購入したことがあります。正確に何年頃か覚えていないくらい昔ですけど。ただ、やはり一時的なことで、人生の大半をWindowsユーザとして過ごしてきました。まあ、PC-98シリーズやDOS/V、FreeBSDとか色々遊んでいた時期はあります。

まあ、理由はいろいろありますが、Appleを礼賛する方々がちょっと受け入れられなかったという面も多々あります。
もちろん、デザイナー職とかではないので、職場で使うパソコン=Windows(やDOS)マシンという絶対的な接点の無さもあります。個人の環境は自由ではありますが、1週間のうち50〜60時間をWindows触ってるのに4〜10時間程度をMacを使うというのも当時の自分にはあり得ませんでしたし、当時のMacはとてもしがない個人が趣味で気軽に買えるものでもありませんでしたので。
※個人の意見です。あえて変えたいという方も多いですし、金を出す価値はあるという考え方を否定はしません。

その辺をさておいても、AppleないしMac、後にiPhoneを礼賛する方々はちょっと近寄り難いイメージがあり、また、事実上iPhoneにとどめを刺されたとも言えるPalmやその派生のCLIEを使っていた身からすると、Apple、iPhoneがどんだけだ!というこだわりもありましたので。

また、あからさまな比較広告はしませんが、自分の都合の良い部分だけ切り取って「Macならこんなことができる、iPhoneはこんなに画期的」というApple社による広告イメージの押し付けが気に食わなかった面もあります。正直、アップルシフトしてもAppleの宣伝手法は苦手ですし、礼賛者の方々とは距離を置きたいです。

そんなわけで、ここではAppleには思うところもあるものの、評価すべきところは評価し、問題と思うところは礼賛者に批判されようとも指摘するというスタンス(という程大層なものではないですけど)で書いていますし、当記事もそこに変わりはありません。疲れるので別に喧嘩を売りたいわけでもありません。個人で礼賛者の団体を相手にするのは時間の無駄ですし。

色々思うところはあるのだけど、今更アップルしてみました、という話を書いていきます。

きっかけと経緯

最初のきっかけは2019年末のApple Silicon(M1)搭載のMacBookの発売です。Windows系はメインはずっとx86系のCPUを使用していますが、Macは過去に何度かCPUアーキテクチャを変更しています。その時点ではWindows系と同じx86系を使用していました。そこに現れたのがスマホと同じARM系のApple Siliconです。CPUには大雑把に分けてCISCとRISCというものがあります。話はそう単純なものではありませんが、超大雑把に言えばx86はCISCベースで、ARMはRISCベースです。厳密に言い出すとキリがないのですが、内部の構造を無視して少なくとも機械語のニーモニック的な思想はCISCベースです。長らくそれでやってきたものの、今後のことを考えるとパソコンもARM系に進むべきじゃないかと考えました。
その結果、2020年頭にM1搭載のMacBook Proを購入し、現在までメインで使用しています。それと併せて、iPad Air 4とiPhone SE2も買いました。その辺りはこのあともう少し詳しく書きます。

それから半年以上。相変わらずスマホやタブレットのメインはAndroid系で通してきました。が、やや思うところもあり、iPhone13シリーズ発売とともに、iPhone13 Pro、mini6と買ってしまい、また続けてApple Watchまで買ってしまいました。もうすぐ新しいのが出ると言うのに古いタイプを。

まあ、半分衝動もありますが、ある程度計画的犯行での2段階以降ですので、その辺りも書いておきます。

本題:パソコンとスマホがバラバラの時代は終わった

いや、個人の意見です。何かの権威でもその道のプロでもない一個人の見解なので全く普遍性も信頼性もありません。実際、こうは言うもののWindows=x86系という壁は大きく、Windowsすら巻き込んだ大きな流れにはなりそうもありません。

それでも思うのが、パソコンはパソコン、スマホやタブレットは別、という世界観はもうそろそろ終わりじゃないかと。パソコンなんてもう何年も前からベンチマークの数値くらいしか競うところがありません。もちろん、性能が向上すれば例えばゲームでもより精緻なグラフィックにできたり、より高度な動きができるでしょう。ただ、できることが劇的に増えたりするというものでもありません。

スマホについても、同様に頭打ち感が見えてきました。毎年Apple社がiPhoneのイベント(まあ、製品発表会であってiPhoneのイベントではないですが、メインはiPhoneであることも確か)を開催しますが、新しい機能やサービスの話は乏しく、今年のカメラはこれだけすごいという話に終始します。

ここの製品カテゴリが頭打ちになってきたらどうすべきか。それは機能の連携ではないでしょうか。その辺もあってか、2021年6月の開発者向けイベントで発表されたiOS/iPadOSとMacOSの次期バージョンは、各端末に閉じた話もありますが、iPhoneとiPadの連携、iPadとMacの連携、iPhoneとMacの連携の話にかなり重点が置かれています。元からApple社はこういう連携機能に力を入れてきました。各端末間で写真やファイルのやりとりは簡単にできますし、モバイル端末のブラウザで見ていたWeb記事を帰宅後にMacで引き継ぐような連携も簡単です。もちろん、WindowsとAndroidでも似たようなことはできます。サードパーティアプリを入れて、それぞれ設定すれば。

それに対して、Apple社製品は特に設定とか必要ないか、簡単に「〇〇を使う」みたいな設定をするだけで使えます。モバイル端末からパソコンまでソフトからハードまで全部やっていることの強みです。これでシェアがもっと高ければEUや合衆国政府がMicrosoft社に介入したように、Apple社にも介入されたのではないかと思うし、そうなっていれば今のような利便性は得られなかったことになります。

つまり、パソコン、タブレット、スマホは連携して使うべきだし、そのためにはバラバラのWindowsとAndroidよりもApple社製品の方が有利だし、実際便利である、というのが自分の結論です。

今回の話の肝はここになるので、あとはもう蛇足のようなものです。横文字大好きビジネスマンがシナジー効果とかよく言いますが、パソコン、タブレット、スマホがシナジー効果を発揮すればもっと色々できるし、そこが簡単にできるのがApple社製品の強みであり、他者には絶対に真似できない部分です。だから、その製品を使うという話です。

Android端末の弊害

Windowsについても色々思うところはありますが、より厄介なのがAndroid端末です。当初は色々カスタマイズできないiPhoneに比べて自由にカスタマイズできるところに魅力を感じていました。ただ、20年以上Android端末を使ってきて弊害や限界を感じてきたのも事実です。

自由というか放任主義のGoogle社

日本国内端末だけ見ていると気になりませんが、中国製の端末とかは厳密にはAndroid端末ではありません。Androidをベースにした各社独自のなんとかOSを搭載した端末です。根っことなる部分は同じですが、基本的なアプリですら各社が独自に開発したものを搭載し、使い勝手もバラバラです。

そもそも日本のAndorid端末だってXperiaとArrowsとAQUOSでは細かい部分が違います。Windowsだってそこで動く各社のアプリはUIとか違います。まあ、一応デザイン規則があって、それに沿って作る前提になっているので、ある程度の統一性はあります。が、Microsoft自身がそれを無視してOffice製品で好き勝手していたりするので説得力がありません。ただ、そうは言ってもそれなりの縛りはあるし、OS自体は各社追加独自アプリがあるにしても標準アプリは標準的なものが付いてきます。

memo

なんとなく、パソコンがまだマイコンと呼ばれていた頃を思い出しました。当時、NECやSHARP、富士通等の会社が8ビットパソコン(マイコン)を販売していました。それらは概ね電源を入れるとMicrosoft社のBASICが起動するのですが、各社それぞれ機能もまちまちです。また、同じBASICでも微妙なキーワードやパラメータの違いがあるので、同じMicrosoftベースのBASICでもプログラムの流用は余りできませんでした。そもそもBASIC言語の仕様が搭載機種のハードスペックにべったりでしたし。
その後、それではいかんとMicrosoft社もBASICの規格をなるべく揃える方向に進みましたし、より汎用的なMS-DOS、そしてWindowsへと繋がりました。そして、日本独自のパソコン群はThe IBM PCをベースにしたPC/AT互換機(所謂DOS/Vマシン)に置き換えられて絶滅しました。

一方のAndoridはというと、もう、無秩序です。基本的なアプリですら各社の独自。OSのUIの範疇ですら各社でカスタマイズされていて、シリーズが違えば操作性が異なるというOSというものの定義に喧嘩を売っているような状況です。中国製の独自OSという体の製品群は仕方ないとして、国内の「Andorid端末」と称するものですら、独自色が強すぎます。もちろん、良かれということもあるのと囲い込みのためにやっているのでしょうが、正直、行き過ぎました。

自分も諸事情でいくつかのシリーズを乗り換えて使ってきましたが、シリーズを変えるたびに基本的には同じだけど微妙に違う、これはA社独自部分でB社では違う、といった部分に都度ぶち当たってきました。

それでもずっと同じシリーズを使い続けられれば良いですが、もう何年も前からいつ撤退するかわからないようなシリーズばかりです。かと言って中国メーカーはiPhoneをそのまま持ってきたようなものばかりで、これまた一貫性のかけらもありません。そもそも、Google社のPixelシリーズにしてからが落ち着きがないことこの上なしです。Windowsだって根っこの部分は変えないと言った不文律が見えますが、AndoridについてはGoogleの気まぐれ(というと言葉が悪いですし、ユーザの利便性を考えているのかと思いますが)で変わる上に、各メーカーの思惑でさらに変わります。

所詮、Google社はサービスの会社であって、製品(ソフトウェア、ハードウェア)の会社ではないのだなということを痛感します。

便利な反面、シリーズを変えると移行の妨げになる独自アプリ

Android端末は大きな括りで言えば一つのカテゴリになるわけですが、このカテゴリの中では各々がライバルでもあります。そんなわけで、各社ユーザの囲い込みのために独自のアプリをつけてきます。Googleの方針なのか知りませんが、Googleアプリがある場合もそれを搭載せずに各社独自アプリだけを搭載する例が多いです。

Googleアプリが関係するのはGoogleのクラウドを利用する部分だけではないかと思います。それ以外の部分については、カメラとかヘルスケアみたいな今時のスマホとして当たり前に付いている機能についても、各社独自アプリです。当然ながらAndroid端末という括りの中にあっても、データもUIも機能も何も共通性も一貫性も互換性もありません。せめて共通ガイドライン的なものでも出して、最低限揃えるくらいなことをやってくれても良いと思うのですが、Google社はその辺にあまり興味がないのかもしれません。

もちろん、そういう自由さが各社がAndroidを採用する理由にもなっており、だから現在まで生き残っている面も否定できません。そういう、Google社と端末メーカの思惑が一致しての現状ではあるかと思いますが、ことここに至ってはあまりに無責任じゃないかと思う次第です。

キャリアとの上下関係

Android端末を見ればわかりますが、メーカー独自アプリとは別に、各携帯キャリアのアプリも山ほど入っています。個人的にはドコモ、au、ソフトバンク、楽天モバイルは全て利用経験がありますが、だいぶ昔に使っただけのキャリアも多く、現在メインはドコモ、サブで楽天モバイルとUQモバイルです。この中だと圧倒的に色々入ってくるのがドコモです。

Android端末を作っているメーカー(特に日本企業)と携帯キャリアの関係性は、キャリアが主でメーカーは従です。元々、ケータイを作っていたような日本企業は電電公社傘下で仕事を与えられて商売をやっていた歴史的経緯があるのでそもそも親方NTTグループに逆らえません。ですので、スペックにしてもキャリアの言いなり、搭載アプリもキャリアの言いなりです。世界市場を考えてスペックをこうしたいと思っても、親方様が不要だと言えば従わざるを得ません。
その一方でiPhoneはキャリア側がApple社に三顧の礼を持って迎えたVIPですから、基本Apple社の言いなりです。変な独自アプリは少ないですし、Appleの都合を呑んでいるケースが多いです。

まあ、今は中国メーカー製品を中心にキャリアの都合が目立たなくなってはきました。そのおかげで凋落したとも言える国内メーカーからは恨み節が聞こえてきそうですが。

それはさておき、Google自体は放任で、キャリアや端末メーカーの思惑に左右されるのがAndroid端末です。キャリアと端末メーカーの組み合わせでガラッととは言いませんが、微妙な違いに直面するという本来なら無駄な部分が存在するのは覚悟する必要があります。

Windows/Androidユーザから見て目から鱗だったこと

まああまりAndoridのダメなところばかり書いても何ですので、実際にアップル製品を使ってみて、なるほど便利だと思った部分をいくつか列挙します。

もっとも、これらの機能も色々設定したり、サードパーティアプリを使ったりすれば、似たようなことができるものも少なくありません。でも、若い頃ならいざ知らず、時間をかけて手間をかけるよりも、これくらいパッとできるようにしてほしい、という想いが強くなってきました。

とは言え、全ての端末を同じApple IDで連携しているのが大前提となります。そこは流石に設定が必要になります。

スマホで撮った写真を簡単に連携

例えばiPhoneで写真を撮れば即座にiCloud経由で他のタブレットやMacの写真アプリで確認できます。アプリも同じ写真アプリです。流石にスマホ、タブレット、Macでそれぞれ端末に合わせた使い勝手の違いはありますが、どれもライブラリとアルバムといったもので管理され、どこかでお気に入りにしたりアルバムに追加した写真は他の端末でもすぐに反映されます。通信状況にもよりますけど。

これはAndroidでもGoogleフォトを使えば、クラウド経由で端末間でやりとりすることも可能です。PCでもなんとかならないことはないです。ただ、少し違うのはPCやMacでのGoogleフォトはアプリではなくてWebなので、ちょっと違う扱いになります。Macだと写真アプリがスマホ等と同じように使えます。あと、正直Googleフォトっていまいち使いづらいせいもあって、ついつい別途ギャラリーアプリをインストールするか、端末メーカーが独自に入れてるギャラリーアプリを使ってしまいます。メーカー独自のものだと使い勝手がバラバラなので、なるべく気に入ったアプリを入れるのですが、サポートが止まったりとかよくあるのがAndroidあるあるです。そこはiPhoneでもアプリに頼ると同じことになるリスクはありますが、ことApple純正写真アプリについては普通に使えて不満もなかったりします。

Sidecarを使ってiPadで簡易マルチモニタ

MacとiPadを組み合わせると便利なのがSidecarという機能です。これはMacのメニューから呼び出せばiPad側は何も操作しなくてもセカンドモニタとして使える機能です。手順も簡単。タスクバーからコントロールパネルからディスプレイのところにある丸いボタンを押すと出てくるメニューで、接続先というものを選ぶだけです。

これ自体はサードパーティ製アプリで実現可能で、Windows、MacとiPad、Androidタブを組み合わせることもできます。MacとiPadでしか使えないSidecarより利便性も高いです。でも、標準機能なので何もインストールしなくて良いし、別途費用も発生しません。

接続自体は有線でも無線でもできますし、リアルタイム性の高いゲームは知りませんが普通に作業で使う分にはラグとかも気になりません。

あとはMacOSのアップデート待ちですが、ユニバーサルコントロールという機能が間も無く使えるようになります。これは複数のMac同士やMacとiPadでファイルやデータをシームレスにやりとりできる機能です。6月の開発者向けイベント、WWDCではiMacでドラッグしたファイルを隣にあるiPadにそのまま持っていってドロップするようなデモをしていました。
SidecarはあくまでiPadをMacのサブモニタにする機能で、iPad自体は単なるモニタであってMacからiPadを操作できるわけではありません。ユニバーサルコントロールは手元にあるMacから、隣にある別のMacやiPadがそのまま陸続きであるかのように操作できる機能です。多分。

Windowsでもリモートデスクトップで他のPCを操作することはできます。リモートデスクトップ機能はWindowsの標準なのでアプリのインストールは不要ですが、接続される方のPCでリモートデスクトップを許可したり、ホスト名を調べておいて接続する方で設定したり、使いたい時にリモートデスクトップアプリを起動したり、と色々やることがあります。ユニバーサルコントロールはそこを一気にすっ飛ばします。

まあ、同様なことはサードパーティ製アプリでもやろうと思ってできないことはないでしょう。ただ、もちろんインストールは必要ですし、色々設定が必要でしょう。GoogleとMicrosoftが手を組んで、シームレスにできるようにしてくれれば別ですけど。