ラノベ感想:本好きの下克上 第五部 女神の化身III
サブタイトルつけると長すぎるので外してます。正しくは 本好きの下剋上~司書になるためには手段を選んでいられません~第五部「女神の化身3」です。短編集や外伝を除いた本編では通算で24巻目になります。
今回は貴族院での領地対抗戦と卒業式がメインです。ローゼマインとフェルディナンドの再会もあるよ。
あらすじ
大混乱のエーレンフェストとダンケルフェルガーの嫁盗りディッター後体調不良で寝込んだローゼマインが回復すると領地対抗戦も目前。共同研究を含め最後の仕上げにかかる。
そして迎える当日。アーレンスバッハからはディートリンデの婚約者となったフェルディナンドが貴族院を来訪。3つの大領地と共同研究を行なったエーレンフェストにはダンケルフェルガーはじめ上位領地が次々と来訪。外交戦に。
翌日は成人式、卒業式、表彰式と式典続き。ローゼマインは無事3年連続の最優秀を獲得し、初めての表彰式に出席することに。一方、ディートリンデは卒業式の奉納舞でトラブルを起こしてしまう。それをきっかけにローゼマインとフェルデンアンドは王族に呼び出されることに。
まだまだ中領地意識が抜けないエーレンフェストの大領地や王族との外交の行方は?
領地対抗戦と大領地との交渉の第五部3巻
エーレンフェスト内も一枚岩になれず?
プロローグはローゼマイン側近たちの反省会から。今巻でもダンケルフェルガーの会う武第一夫人から、エーレンフェストで上位領主と外交できるのはフェルディナンドとその流れを汲むローゼマインとその側近だけ、という指摘がありましたが、こういう反省ができるところもローゼマイン側近の抜きん出た部分でしょうか。まあ、ヴィルフリートやシャルロッテがローゼマインが寝込んでいた間に何をしていたのかは描かれてないのでわかりません。が、一部のローゼマイン側近(古参組)がヴィルフリートに対する鬱積を溜め込んでいるのがプロローグで描かれており、ヴィルフリート(とその側近)がまだまだだというのがわかります。
次期アウブの自覚はあるようですが、結局、ローゼマインの指示がないと動けない部分もあり、全てが虚弱なローゼマイン頼みというのはエーレンフェストの危うい部分です。もちろん、印刷業とかローゼマインがわからない部分もあるでしょうが、理解しようともしないで任せきりというのはアウブとしていかがなものか。
その辺、王族や上位領主に何も言えないあたりも含めて、似たもの親子と言えるかも。ただ、ローゼマイン側近がヴィルフリート(とその側近)に不満を抱いた状態は良くないですね。これから領内貴族の意識改革を行うというのに。
また、側仕えや側近が主の要望だけを叶えているのではダメという話はなかなか重い話です。自分も現役時代はお客様相手にシステム開発する仕事ですが、単にお客の言うことを聞くだけではダメで、お客が本当に望んでいることを引き出し、推測し、実現しなければなりません。方向性がやや違いますが、客の言うことを聞いていればいいと言うだけではありません。
その辺り、前の方の巻でリヒャルダが側仕え候補生たちに諭していたように思います。ただ、こういう意識がローゼマイン側近でも新参組にはまだまだ浸透しておらず、いやんやヴィルフリートやシャルロッテ側近をやという状況。結構、世の中の渡りかたとか仕事に対する姿勢とか、本好きの下克上から学べるところがあるのですよね。
大領地との外交合戦
さて、領地対抗戦は外交戦争の場でもあります。まずはダンケルフェルガー。ディッター、ディッターうるさいアウブとレスティラウトは留め置かれて、第一夫人のジークリンデとハンネローレとジルヴェスター、ローゼマインの戦い。なにしろ成り上がり8位の実質底辺の中領地と堂々第2位の大領地との交渉。ジルヴェスターは上位に何も言えない病が発症。この辺、保護者の王族と関わるな方針とも絡みますが、成り上がるについては王族や大領地ともそれなりに利と利で理詰めの話ができないといけないし、それは学生しかいない貴族院ではローゼマインはじめとした領主候補生3人で担わざる得ないので、やや事勿れが過ぎる印象。
まあ、ローゼマインが規格外の問題をもたらすのも確かですが、それでエーレンフェストは成り上がってるので。UQモバイルのCMじゃないですが、リスクを恐れて避けるばかりでは何もできません。いつまでも底辺領地根性丸出しではダメですね。こうなったのもフェルディナンドとローゼマインに甘えていつまでも二人に任せきりだった弊害でしょう。底辺領地の領主としての苦労はしてきたと思いますが、そこに甘えて大領地の言われるがままではいつまで経っても成り上がりの中領地に過ぎないですから。その辺は、常に命がかかった修羅場で上位者(第二部なら神殿長、第三部では貴族社会、第四部では貴族院という常時他領地と接触のある場)で鍛えられた差でしょうか。その割に、ヴィルフリートとシャルロッテはあれですが、異世界とはいえ本来成人の知識と経験を持つローゼマインなので、会社で言えば実質中堅どころなんですよね。
フェルディナンドとの邂逅
フェルディナンドがアーレンスバッハに移って以来の邂逅。そのきっかけはエーレンフェストの恋愛物語の影響なので、偶然というのも馬鹿になリません。まあ、相手は超絶マイペースのディードリンデなので、そもそも制御不能ですけど。
そんなわけで、まずは褒めてもらおうと画策した上で色々隠蔽していましたが、あっさり露呈して絞られることに。まあ、自業自得ですね。
奉納舞とツェント騒動
表彰式ではエーレンフェストとローゼマインの存在感を示し、奉納舞へ。今回はレスティスラウトとディートリンデのペアです。ある意味我が道を行く二人なので、とことん合わなそうですけど。倒れかかってきたディートリンデを弾き飛ばしてしまうあたり、他の男子だったらなかったかも知れず。
それはさておき、ディートリンデがたまたまローゼマインが奉納舞の練習で余剰魔力を魔石に流して祝福が漏れ出すのを抑えていたのを勘違いして目立とうとデコ奉納舞をやろうとしたために魔法陣が発動、中央神殿の勘違いでツェント候補生と認識されることに。エーレンフェストとダンケルフェルガーの外交に乱入して母娘に呆れられたあたり、ちょっとピントが外れ過ぎていて可哀想なくらい。というか、第6位の領主候補生がなぜ第2位の大領地の領主一族に優越感を持っているかも理解不能なのですが。
エピローグでは側近たちからも影では馬鹿にされたり呆れられたり。なんでこんなことに…。
そしてエーレンフェストへ
というわけで、今巻で貴族院での話は終了。舞台はエーレンフェストへ。そして、今までも何度か暗躍してきたゲオルギーネの影が再び。中央騎士団の一部の関与の疑いとか、だいぶ核心に近づいてきた感じです。
巻末の書き下ろし短編の2つ目でヴィルフリート視点の卒業式後の話が掲載されています。こちらはプロローグと逆にヴィルフリートとその側近側のローゼマインやシャルロッテに対する不満が描かれています。相互に意思が疎通できてないのはよろしくないですね。まあ、自分としてはどうしてもローゼマイン側に思い入れがあるし、次期領主であると言うならば、成果の献上が必要と判断したのならヴィルフリートからローゼマイン、シャルロッテに話をするなり、ジルヴェスターと相談して必要ならジルヴェスターから通達してもらうとか、動くべきなんですけどね。そういう点では、ジルヴェスターも王族に関わるなと言う前に、領主候補生等の役割分担を明確にするとか、色々やることはあるように感じます。
あとはまあ、義手の男とかあからさまな伏線ですね。まだ彼とローゼマインの因縁は続くようです。ゲオルギーネ様はどうせ表には出てこないので、また彼とローゼマイン(とその側近)の戦いになりそうです。
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