ラノベ感想:ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います6

読書,ファンタジー,ライトノベル,働き方改革,受付嬢,残業,異世界,社畜,電撃文庫,香坂マト

すべての社畜に贈る、理不尽をなぎ倒す(物理)スーパーヒロインの物語。公式略称「ギルマス」も6冊目。予約を忘れていて買うのが遅れた上に、Amazonのキャンペーンに釣られて他のシリーズを色々買ってしまったため、2ヶ月遅れで読了。

あらすじ

一連の騒ぎも落ち着き、新たなダンジョンの発見もなく、ギルドの受付も平和。そんな平穏はしかし長くは続かず、急に5つものダンジョンが発見される。長期休暇直前の時期に降って沸いたダンジョン発見の方に浮き足立つアリナたち。残業を減らすべく処刑人としてダンジョンに向かったアリナとジェイドだが、そこには処刑人そっくりの格好で神域スキルを使う謎の人物がいた。果たしてその正体は?そして、アリナの長期休暇は…

偽処刑人登場?その思惑は?そして「あの方」は?

今回、結構大きく謎が明かされ、話が動いたので、何を書いてもネタバレになってしまいます。前巻で登場した【大賢者】こと、シュラウドらしき人物。そして、最後に語られたアリナのスキルが神域(ディア)スキルではないという事実。

そして今回の【大賢者】のセリフからすると、どうもアリナがディアを取得することは、彼にはわかっていたように見えること。まだまだアリナには秘密がありそうです。

突如明かされるアリナの家族構成

あまりネタバレにならない話として、今回、休暇で帰省したアリナは家族と再会。実はアリナの父親は有名な「狩人」だということ。狩人と言っても相手は野獣ではなくて魔獣。魔獣から取れる素材を取るのを生業としている。色々な依頼を受ける冒険者と異なり魔獣相手の専門職なので、対魔獣戦のエキスパートが狩人との設定。あちこち飛び回ってるらしく、滅多に帰ってこない。たまに珍しい魔獣の素材を送ってくるらしい。何その、現代ものラノベの両親設定みたいな設定。

母親も美人で昔は宿屋も兼ねていた酒場の女将。そして、弟がいることも判明。弟はまだ大学生。だが、賢者というこれまた特殊な職業を目指しているらしい。実はその目的もアリナが関わっているが、その辺は読んでのお楽しみ。

現れた偽処刑人と、その正体

これはネタバレになるので正体については書きません。ただ、話の流れからなんとなく途中から想像はできるかと思います。アリナそっくりの外見で、アリナと同じスキルを使う存在。そんなのが普通の存在でないのは確かでしょう。

ただ、あまりにもアリナそっくりのため、過去のアリナの経験からくる「精神攻撃」には耐えられず…。いや、偽処刑人自体は実際の経験はないはずなのですが、模倣している本人の精神的な影響を受けるのでしょうか。

「ー"私に残務押し付けた先輩が、先に定時で帰ってる"」
『!?』
それは、ある意味呪いの言葉だった。
凍り付いたのは偽処刑人だ。後ろでジェイドが不思議そうな顔をしているが、一応アリナの行動に口を出さずに見守っている。
『な‥‥なにを‥‥』
ギギギ‥‥‥と偽処刑人が壊れた機械のようにぎこちない動作でアリナを振り向いた。明らかに声に動揺が見え隠れしている。そんな偽処刑人に、アリナはさらに、より強力な呪いを叩きつけた。
「"そんなの自分で考えてって言われたから自分で考えて行動したら!なんで聞かなかったの?って怒られる"!」
『!?く、何を‥‥』
「”キミは有能だからって都合のいいこと言われて、体よく面倒な仕事を押し付けられる”!」
『ぐ、うううう』
思わず偽処刑人は、胸を押さえてうずくまった。
『なにこの、胸の痛み‥‥辛い‥‥苦しい‥‥悲しい‥‥悔しい!』
(中略)
「効いているわね。いえ、効かないはずがないのよ。あんたが私なら」
『何をしたの!?』
「呪文よ。アリナ・クローバーにだけ‥‥いえ、”日々の仕事に苦しんでいる社畜”だけを的確に殺す、最強の呪文‥‥!さあ、この呪文の前に嘆き、苦しみ、朽ち果てなさい!絶対社畜殺す呪文(アブソリュート・デス・スペル)!(後略)」

まあ、その攻撃を仕掛けたアリナ自身も精神的ダメージを受けてしまうわけですが。いや、マジきっついわ。この後、呪文は過去のギルますのエピソードをなぞっていきます。いや、ここまで5冊、色々なことがありました。

他にも色々な呪文がありますよね。「"実力の限界を越えないと人は成長できないと言われて無茶振りされる"!」、「”手が回らないので誰かに頼ろうとしても、頼れる相手がいない”!」…。何と恐ろしい、絶対社畜殺す呪文!まあ、攻撃対象が限られるのが難点ですけど。効かない相手には一切効果を発揮しない呪文ですから。

ついでに著者の情報も

あとアリナ同様、著者にも弟がいることがあとがきでわかりました。というか、そもそも著者は女性だったのですね。

今後の行方

魔神絡みの問題が片付いたと思えば、これまでもちょこちょこ顔を出していた「あの方」こと【剣聖】が動き始めました。また、残りの四聖、【聖母】、【守護者】が今後話に絡んでくるよう。魔神よりも強そうな【剣聖】との戦いが待ち構える中、今後もアリナの戦い(残業)は続きそうです。

公式サイト

既刊感想