ラノベ感想:転生したらスライムだった件19

読書,伏瀬,異世界

天使軍の侵攻により大陸各所で天魔大戦の戦端が開かれる。リムルとヒナタもそれぞれの戦地で激闘を繰り広げるが絶体絶命の危機が迫る。天魔の戦いの行く末は…。

あらすじ

レオンの領地が突如侵攻され、リムルが駆けつけるがレオンがミカエルに支配されてしまう。

そして西方諸国と東の帝国の和解の場である世界会議のその日。体制を改めたフェルドウェイ率いる天使軍が各地に侵攻。魔王側もそれぞれ迎え撃つ。そんな中、レオンが現れたと知ったリムルは当初の取り決め通りレオン奪還に向けて動く。しかし、その場に神智核ミカエルが現れる。

一方、世界会議の場であるイングラシア王国の王都では謎の集団の襲撃を受ける。防衛するテスタロッサとヒナタだが、王都の地下で極秘に実験対象にされていた元イングラシア王国騎士たちに苦戦する。彼らは天使軍のヴェガによって妖魔の力を与えられていた。

それぞれの戦場で絶体絶命の危機に陥ったリムルとヒナタ。彼らと大陸に住まう人類、魔物、魔族たちの運命は?

苦闘激闘の19巻

というわけで、今回は全編通してバトル多め。そのため、国づくりとか外交要素が少なめなのが仕方ないですがちょっと残念。まあ、面白かったから良いのですが。

対照的な天使軍と魔王軍

天使軍は神智核であるミカエルとその分身とも言えるフェルドウェイを頂点とした軍団です。帝国を失った彼らは直接の配下である妖魔族は別として、彼らと融合した雑多な構成の軍団ではありますが、ミカエルの絶対的な力をもとにまとめられています。

一方の魔王軍は一応最大の実力者であるギィの元にあるとはいえ、割と自由。最低限の連絡手段とかいざとなったらどうするかといった取り決めをしているくらいの緩い集団です。ただ、個人主義の魔王たちの中で戦争ができる魔王は限られています。その中でも多くの魔人を抱え、さらにはヴェルドラを擁するリムルは魔王軍の大きな部分を担っています。ただ、力で従えるミカエルやフェルドウェイとは異なり、リムルも配下には割と自由にさせています。

軍団の構成や支配方法もそうですが、考え方も対照的です。なまじ大きな力を持つが故に割と大雑把にも見えるミカエル。最終的には力でなんとかすれば良いという感じがあちこちに滲み出てきます。今巻の中盤くらいにヴェガがはんば暴走しますが、敵を倒せればそれでいいかという感じで黙認しているあたりも力による支配しか考えていないのが透けて見えています。
一方のリムルは割と準備万端です。まあ、それでも敵の策にはまったりしていますが。そこにはリムルのさらに上をいく慎重さをもつ相棒、シエルさんがいます。結局、ミカエルは自分の力しか信じておらず、配下も使い捨てですが、仲間たちに支えられているという自覚のあるリムルは集団での戦いです。元ゼネコンで現場監督をしていた経歴を持つリムルらしいところでもあります。

そして、その構図がとても対照的です。そして、それが今巻の結末へと繋がっているように感じます。

シエル無双

そして終盤はシエル無双。シエルさんはAIではないですが、AIとのバディモノが好物なのでシエル推しの自分にとっては最大の見せ場でした。

もちろん、実体のないシエルさんは直接武器を持って無双するわけではありません。自覚あるのかないのか割と無頓着に危機に踏み込むリムルを支えるシエルさん、今回も多少の見落としはありましたが、ちゃんと奥の手を用意していました。それは読んでのお楽しみです。

ただ、一つ疑問。作中、さらっと事前に連絡を取っていたと言っていたシエルさん、実体がないのに、あの人とどうやって連絡を取ったのでしょう?過去に何らかの接点を示唆されていたのを見落としてますか?魂の回路で接続されているヴェルドラとかとリムルに知られずに連絡を取り合うのが可能なのはわかっているのですが。
実はリムルが寝ていたり、呑みすぎて意識がなかったりすると表面化できる?魔王への進化した際には表面に出てきて反魂の儀式を仕切ってましたからね。その辺りが謎というか、よくわからない部分ではあります。

もっとも、あの人にはシエルの存在がバレているとのことで、あちらはあちらで常に状況を監視しているのかもしれません。表ではシュナとシオンが睨み合ってますが、裏では実はシエルとあの人が睨み合っている感じ。

ヒナタ覚醒

今回表紙でもあり、リムルと並んでの今回の主役のもう一人がやはりヒナタでしょう。個人的にはイラストの感じのキツさがどうしても真っ先に浮かんでしまうので、あまり推しではないのですけど。どちらかといえばテスタロッサ推し。作中の一部の性癖をお持ちの方々とは分かり合えないようです。

そんなテスタロッサと共に王都と彼の防衛を任されたヒナタ。今回はアウェイに近いイングラシア王都で、街と各国VIPを守りながらの闘いということで当初は防戦一方で苦戦を強いられたヒナタ。いやもうどうなってしまうのかと思ってしまったものです。そこに現れたあの人とか、かの人とか、読者サービスの大盤振る舞いでかつての英雄たちの本来の姿を垣間見えたのはシリーズ続けて読んできた醍醐味でしょうか。

今巻と今後

そんなわけで、初日に1/3くらい読んだので残りも同じペースで合計3日くらいで読もうかと思っていたものの、中盤以降目が離せなくて残りを一気に最後まで読んでしまいました。リムルとヒナタがメインを占めてますが、テスタロッサとかウルティマとか他の面々もちょこちょこと活躍している今巻。色々てんこ盛りで大変盛り上がりました。

後書きによると残り3巻(予定)だそうです。次巻はおそらく今巻の中で動いたあの勢力との戦いでしょう。あとは開戦序盤で描かれたままの勢力も再登場するのでしょうか。今巻でひと段落ついたもののまだ天魔大戦の流れは止まっていないのですが、冒頭でまた事後収集と善後策の検討の場はありそうです。

少しづつ先が見えてきて少し寂しいですが、結末へ向けて期待しています。

公式サイト

2022-10-11読書ライトノベル,伏瀬,異世界

Posted by woinary