ラノベ感想:ティアムーン帝国物語
長くなるので省きましたが、正式には「ティアムーン帝国物語 ~断頭台から始まる、姫の転生逆転ストーリー~」となります。続刊がありますが1巻にはナンバリングはありません。珍しいですね。1巻だけKindleUnlimited対象になっていたので読んでみました。
積極的に民衆を苦しめたわけではないが我儘放題、贅沢放題で投獄されてギロチンで処刑された姫が、なぜか幼少期に逆戻り。2度と処刑は御免だと努力するが、その方向性がちょっとポンコツ。しかし、そこにどんどん奇跡が積み重なる。果たして第二の人生で彼女はギロチンを免れることができるのか?!
あらすじ
かつて栄華を極めた大国ティアムーン帝国だったが、政治腐敗や疫病、貧困問題が積み重なり崩壊。ただ一人の皇女ミーアも投獄されて地下牢獄で2年を過ごした上で処刑されてしまう。
が、気づくと12歳に逆戻り。そこに残されていたのは死ぬまで書いていた血塗れの日記。2度と処刑は御免と歴史を変えるべく行動を開始するものの、そこはただのわがまま姫であるミーアには何もできない。そこで目をつけたのが最後まで忠義を持って接してくれたメイドと文官。早速、行動を開始したミーアは彼らの協力を得てギロチンを回避できるのか?!
中世学園ファンタジー?
見た目はぎりぎり美少女、中身はポンコツ
イラスト的には普通に美少女だと思いますが、作中ではかろうじて美少女と記載されています。作品の雰囲気的には中世お姫様版「ちびまる子ちゃん」です。何しろ、本作の主役である皇女ミーアはポンコツです。まあ、まる子よりは生き残りがかかっている分だけ努力していますが、何となく残念なあたりがまる子っぽいです。そこに、アニメちびまる子ちゃんのナレータのようなツッコミが入るので、なんとなくちびまる子ちゃんぽいイメージがついてきます。
そんな姫が各国のさまざまな生徒が集まる学園に向かい、そこでも騒動を巻き起こすのが1巻のメインとなります。その学園には、後にミーアの敵になる大国の王子、自領の辺境下級貴族の娘、学園のある都市の姫で生徒会長が揃っており、前世では学園での彼らとの行き違いがミーアの運命の一因になっているので、ミーアとしては何としても彼らとは接しない、悪い印象を持たれない、と必死に努力します。
奇跡の相乗効果
そんなミーア自体は、何とか生き残りたいとは思うものの、取り立てて才能があるわけでもなく、前世でもサボっていたので2度目の学園での勉強でも特に有利なわけでもないという状態。元々がわがまま姫なので発想が色々ずれている上に、前世の体験がトラウマとなりさらにずれまくっているというポンコツ姫。その上、自己中心的なのに小心者で悪役にも正義の味方にもなりきれないという中途半端な立場です。
しかし、そこに前世を憐れんだ神の思し召しか、はたまた姫の才能なのか、相手が都合の良いように勘違いしてくれるという奇跡を連発します。「転生したらスライムだった件(転スラ)」の勇者マサユキはスキルとしてそんなような能力を持っていますが、ミーアももしかするとそんな能力があるのではないかというレベルで、皆が都合よく誤解してくれます。と言うか、そういう物語ですので、ご都合主義を楽しむ作品になっています。
姫の内心の小心者、自己中な面と並行して、他の人物の内心の誤解っぷりが描写されているので、何度も吹き出してしまいました。
笑いあり、笑いあり、少し涙あり
そんなギャグ成分多めのファンタジー作品なのですが、ところどころ涙を誘う場面も出てきます。自己中な彼女は生き残りのために色々(ずれた)努力をしているのですが、前世の経験から「これはまずい」という部分を学習しています。どこまで理解しているのか怪しい部分もありますが、かつての行いを(少しだけ)反省したりとか、最後まで忠義を持って接してくれた人にはそれなりに身内意識を持ちと、それなりに成長を見せています。ポンコツだけど、それを正してくれる存在がいれば少しは違う人生があったのかもしれません。
そんなちょっとした反省とか心残りみたいなもの、あるいはトラウマを呼び起こして色々考えたりする部分が、普段のコミカルな部分に混ざってきて、ちょっとうるるっときてしまうこともあります。そういう意味では、根っから悪い娘でもないミーアです。まあ、ウザくて、見栄っ張りで、小心者でわがままですけど。
でもまあ、別にトップなんて取り立てて才能とかなくてもこれで良いんじゃないかとも思います。何がしたいかが明確で、適切に権限移譲できて、責任だけは取ってくれる。結果だけ見ればなんて優秀な上司なんでしょう
その「違う人生」を得た彼女の奮闘が面白おかしく、楽しみです。
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