ラノベ感想:時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん
相変わらずタイトルがむやみに長いですが、公式通称は「ロシデレ」。スニーカー文庫でCMするくらい押しているのと、人気もある様で気になっていました。Kindle Unlimitedの対象に1巻が入ったので読んでみました。
2022年読書2冊目、ラノベ1冊目です。
あらすじ
名前の順で久世政近の隣になったのは学年でも一二を争う美少女のアーリャ。他人に対して距離をとっているが、政近だけは罵倒する。そして、時々ボソッとロシア語で呟くその内容を、政近だけは知っていた。それをアーリャは知らない。伝わっていないと安心して恥ずかしいことを口走るツンドラ少女と、それがわかっているけどわかっているとは言い出せなくなって逆に聞いている方が恥ずかしくなっている無気力少年のラブコメの行方は何処。
お互いに内心で悶えつつ、何気ない風を装う高度な情報戦
ツンデレのパターンは無限?
ツンデレが世間的にも一般的になって長いですが、今度はロシア語でつぶやいた内容が相手に実は筒抜けだった、という設定になりました。
別作品で過去の事情から他人の心理をエスパー並みに読める少年というのがありましたが、あれよりは現実的でしょうか。どちらにしても、それを受け取る方が相手の本音には気づかぬフリして内心では嬉しがったり、逆に小っ恥ずかしくなって悶えたり、というあたりは共通。ただ、こちらは言っている方も安心しきってかなり恥ずかしいことを口に出したりして、内心で悶えているというのが新しいでしょうか。別作品の方は心が読めるとは言っても確定でないですが、こちらはもう分からないと思って口に出していますから。大体は独り言がもれちゃったレベルのものが多いですが中には確信犯と思われるものもあります。
表面的にはただの男女の友達関係だけど、お互い内心ではイチャラブバカップル、だけどお互いに相手の気持ちには気づかないという高度な情報戦?を展開しています。読んだことないので似ているのかわかりませんが、そういうコミックがありましたね。
ツンデレが一般化してだいぶ経ちますが、いろいろなパターンを出してくるものです。とは言え、どうしても似たような感じがしてしまうのも確かです。
ハイスペック美少女と隠れハイスペック少年のインフレ
キャラクタ設定は狙ってやっているのかわかりませんが、かなり類型的です。ヒロインがやたらハイスペックで学年1位でお淑やかで運動もバッチリ。これはもう最近の標準仕様という感じです。お淑やかなのが演技か地かは場合によりますが、過去の経験から他人との距離をとりがちだけどなぜか主人公とだけは打ち解けるというのも定番。そして、その主人公が実は才能を隠していたり、何かのきっかけで自信を無くしたりして普段はただの少年にしか見えないのもお約束。本作もお約束に忠実です。
そして、そんな主人公に学校内有数の美少女たちが想いを寄せるのもお約束。本作もヒロインとは別に、実妹もちょっと怪しいし、ヒロインの姉はおそらく過去に主人公と関係がありそうな伏線が張られています。もっともヒロインの姉には彼氏がいるらしいですが。
内心を隠したバカップルぶりが楽しい
では、あまりにステレオタイプでつまらないのかと言えば、自分はだいぶ大笑いしました。あまりに類型的なキャラが受け入れられないという方には辛いかも知れませんが、そこを気にしなければ二人のやり取りは微笑ましかったり、馬鹿げていて大笑いしてしまったりと、気持ちが明るくなります。
例えば、作中で二人のソックスを巡ったやりとりがあるのですが、大笑いしてしまいました。さらに、そのあとヒロインが姉とその話をするところもツッコミどころ満載です。そういう、いやそうじゃないだろ!とツッコミを入れるのが楽しい人には、ツッコミがいがあるのではないかと思います。人気になるだけはありますね。
1巻は前振り、2巻以降は話が進むのか?
いっそ、バカップルな日常だけで話を進めてもいいのでは?と感じてしまいますが、今巻の最後でアーリャの生徒会長戦立候補を後押しすることを約束する政近。そして、幼馴染も生徒会長戦に立候補する予定。会長と副会長はセットで立候補して争うという不思議(ご都合主義)な制度の学園で、二人や周りの人達の関係はどうなっていくのか?みたいなストーリーが2巻以降では展開されるのかと思います。
あとは、アーリャの姉マーシャと政近の関係がいつ明らかになるか(勘違いだったりする可能性もありますが、政近サイドとマーシャサイドでそれぞれかなり明確な伏線を張っているので、実は違いましたと言われても…とは思います)
蛇足
アーリャさんの本名はアリサ・ミハイロヴナ・九条となっています。なので略称がアーリャ。ミハイロヴナということはお父さんはミハイルですね。英語で言えばマイク、大天使ミカエル由来の名前。
一方でアリサはあまりロシアっぽくない気もしますが、日本人の母親の影響でしょうか。ロシアの一般的な女性名としては「アリーサ」があるようです。
あと、政近の実妹は政近やアーリャと同学年なんですが、双子なんでしょうか。誕生月の記載はなかったかと思いますが、一方が4月くらいでもう一方が翌年3月くらいならギリギリなんとかなるか。ネットで調べてみたところ、実際にそういう例はやはりあるようです。中には2人目が早産で6ヶ月半差という例もあったとか。アーリャとマーシャも年子ですし。
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