povo 2.0はちゃんと内容を調べよう
巷でpovo 2.0が話題になっていますが、1.0ユーザからの注意喚起を見かけたので調べてみたところ、かなりクセつよな印象。謳い文句に踊らされずにきちんと調べましょう。
一部で大歓迎だが本当に万人向け?むしろ玄人向けでは?
総務省のおかげで携帯キャリア各社がメインプランともサブブランドの中間として用意した第3のプラン。ドコモのahamoとauのpovoが有名ですが、povoが早くも2.0としてプランを変更してきました。
なんとなくバージョンアップを感じさせるネーミングですが、結構考え方が変わっています。その割に1.0の新規受付は停止。既存1.0ユーザはそのまま1.0でのサービスが受けられますが、これからの人は2.0しか使えません。1.0的なサービスを受けたければサブブランドであるUQモバイルを検討する必要があります。
細かい比較はいくつかのWebサイトで紹介されているので、ここではポイントのみ触れます。
最大の相違:povo 2.0はトッピングありき
povo 2.0は基本料は無料で必要に応じてトッピングと称するオプションを購入するのが大前提です。そのため、以下の制約があります。
- 180日間に一定額の有料サービスを使用しないと契約解除される可能性
- トッピングがない状態でも通信は可能だが、128Kbpsの速度制限
- povo 1.0やUQモバイルのくりこしプランM/Lは1Mbps、くりこしプランSは300Kbps
- UQモバイル等の格安SIMサービスによくある低速(節約)モードへの切り替えはなし
まず1点目。楽天モバイルもそうですが、無料で回線維持をさせるつもりはないということで、一定額の有料サービスの利用が必要となっています。具体的な金額は今は未公表のようです。最大限に見積もって3GBトッピング(990円)×6ヶ月を超えることは流石にないと思いますが…はてさて。
そして2点目。トッピングが切れた状態でも通信は可能ですが、128Kbpsとかなり低速です。旧1.0やUQモバイルは1Mbpsでしたが、それよりかなり抑えられており、事実上、トッピングなしでの運用は難しいと考えてください。
なお、UQの安いプランは300Kbpsで、これもなかなかキツイですが、それよりもさらに半分以下の遅さです。テキストのやり取りしかできないと思ってください。IIJmioの低速時と同じかと思いますが、Twitterですら画像とかアイコンがなかなか出てきません。
最後の3点目は2点目にも絡みます。UQモバイル等の格安SIMサービスではあえて通信速度を抑えることで通常状態のパケット消費を抑えることができます。
例えば、夜寝ている間は速度は必要ありませんが、バックグラウンドアプリ等が通信していることはあり得ます。その分の通信量を低速モードに切り替えておけば、貴重なデータ容量を節約できます。
メインブランドではこういうサービスがなく、速度が不要な時でもいつでもトップギアになります。これはそもそも、料金の切れ目がそんなに細かくないメインブランドでは気にする必要もないですが、データ容量の段階が細かい格安SIMサービスでは今や必須の機能になっています。そして、povo 2.0では3GBまでは細かいステップがあるくせに、速度制御ができないようになっています。まあ、これも楽天モバイルと同じですけど。
最初は細かく、急に大雑把になるトッピング
では、ここでトッピングを見てみます。
トッピング(容量) | 有効期間 | 金額(税込) |
---|---|---|
1GB | 7日間 | 390円 |
3GB | 30日間 | 990円 |
20GB | 30日間 | 2,700円 |
60GB | 90日間 | 6,490円 |
150GB | 180日間 | 12,980円 |
使い放題 | 24時間 | 330円 |
1GB、3GBときて急に20GBに飛びます。3GBを超えたらもう4GBでも19GBでも20GB分の料金です。そして、povo 2.0はトッピングで使い切れなかった分のデータ容量の繰越はできません。今月4GBしか使わなかったから、来月は16+3=19GB使えるなんてことはありません。まあ、楽天モバイルも同じ刻みなので、基本0円とともにだいぶ意識しているように感じます。
そして、上述の通り通信速度の選択はできないので、常にトップギア。通信量を制御したかったら機内モードにするか電源を切るか、モバイルデータ通信をオフにするか、とにかくau/povoネットワークを遮断して、WiFiのみで利用する必要があります。
ですので、事実上1GBと3GBのトッピングはないも同じです。普段は寝かしておいて非常時に使うといった特殊な使い方では意味がありますが、見かけ上安く見えるようにしているだけのトッピングになります。もうちょっと配慮した言い方をすれば、あくまで基本は30日20GBのトッピングで、そこをちょっと超えちゃったけどちょい足ししたい時の1/3GBのトッピングだと思った方が良いと思います。
いろいろ工夫して安くすることはできますが、正直それをしたいなら格安SIMサービスを素直に使った方が楽だと思います。なお、楽天モバイルも楽天回線には速度制御はありません。ただ、あちらは20GB以上も定額なので3GB以上使うときには気にならなくなります。また、楽天モバイルでもauローミング回線は上限5GBなので速度制御ができます。
まとめると、選択肢が色々あるように見せていますが、普通に使いたい人にとっては意味のないもので、事実上20GB/月のプランを30日、90日、180日の範囲で選択するだけです。期間が長くなればそれだけおまけがつくメリットはありますが、それだけです。クセつよと言っているのはそう言う部分を指しています。
期間の単位は月ではなく日単位
トッピング表に書きましたが期間は24時間使い放題のトッピング以外は全て日単位です。1ヶ月30日換算とかではなく、本当に30日です。9/1に3GBトッピングを購入すれば月末まで3GBが使えますが、10/1に購入した場合は10/30までが有効期限で、10/31は使えません。末尾が休日なら良いですが、平日だったら末尾にトッピングを購入して、そこからまた30日間となり、どんどん月末月初からずれていきます。
任意の時点でトッピングを購入するという仕様上仕方ない点もありますが、期間管理は注意が必要です。
povo 2.0が向く人、向かない人
povo 2.0が向く人
簡単に言えば、キャリアのメインブランドを使っていてデータ容量が20GBを超えない人と、データ利用量にムラがある人。
前者は説明不要でしょうから、後者について補足します。
例えば、1台のスマホでメイン回線とは別に普段はあまり使わないサブ回線としてキープしておくとか、ソフト開発用途のスマホとかで利用状況にムラがある方でしょう。または、普段は在宅で外に出ないので普段はWiFiで良いけど、月に1回か2回だけハンコのために出社する時はキャリアネットワークを使いたいとか。
そういう普段はあまり使わないが、たまに使える回線が欲しいという場合には有効活用できます。ただし、トッピングがどれだけ必要か、どのくらいの期間で使うかをきちんと管理できないと、かえって高くなりかねないので注意が必要です。
また、普段寝かせる場合、契約解除に注意が必要です。本当に問答無用で契約解除することはないと思いたいですが、正直よく分かりません。普通は、事前に警告とか案内があって、それでも利用がなければ契約解除という流れだと思うのですが…。
あとはムラがなくても15GB/月程度の人。標準的な30日間、20GB、2,700円のトッピングがUQモバイルのくりこしプランMの15GB、2,728円に相当します(キャンペーンで契約から1年間は20GBのはず)。価格的にもほぼトントンです。違いは期間がきっちり30日間であることと、速度制御ができないこと、トッピングがない期間の通信速度が非常に低くて実用にならないこと、です。
速度制御できないので、思っているよりもデータ容量を使う危険があり、速度制御前提で15GBギリギリに抑えていた場合には、20GBを超えないように注意する必要があります。まあ、超えてもデータチャージがUQモバイルより安いので気にしなくても良いかもしれません。
ただ、結局データチャージ料金以外は安くはならないので、速度制御できない分で高くならないかは要確認。あとは通信速度がやや速くなることを期待することになります。これらを踏まえて本当に乗り換えメリットがあるかどうかの検討は必要かと思います。ちょこちょこ制限を超えてデータチャージをしているような人はお得になるかと思います。超えた分は1Mbpsで我慢できる方には向いていないかもしれません。
povo 2.0が向かない人
向かないというか、ちゃんと他社サービスや、少なくともサブブランドのUQモバイルと比較検討してください。少なくとも、誰も彼もpovo 2.0で幸せになれる、といったものではありません。
- 各キャリアのサポート窓口の手厚いサポートが必要な人。
- 毎月の利用が3GB以内の人。UQモバイル等の格安SIMサービスの方が安かったり、楽だったりする可能性が高いので、ちゃんと比較検討してください。
- 毎月70GB以上使う人。メインブランドの使いたい放題の方が安くなるはずです。まあ、そんな人はpovoを検討しないか。
- 残量管理が面倒、できない人。多少の安さよりも手間を減らした方が幸せになれるかも。
1点目は大前提なので書くまでもないかもしれませんが、念の為。何かあると窓口に駆け込んで店員にサポートしてもらう方は、povoにしろahamoにしろ向いていません。メインブランドがサブブランドのどちらかを、お近くの窓口の有無と合わせて検討になります。
今UQモバイルのくりこしプランSの人は、速度制御できないpovo 2.0では3GBトッピングでの運用は難しいと思います。上に書いたように月に1回か2回だけキャリアネットワークを使いたいといった理由がない限りは、くりこしもないpovo 2.0は向いていないと思います。まさに自分がこれに該当します(厳密にはそれ以前のデータ高速プランなので条件がもう少し悪い)。
まとめ:とにかくちゃんと検討しよう
povo 2.0がすごいらしい、といった曖昧な話に流されずに、ちゃんと自分の利用形態にあわせて検討しましょう。1.0はもちろん、従来のメインブランドとも格安SIMとも違った概念が入っているので、本当にメリットがあるかをきちんとみないと損するかもしれません。今までキャリアのメインブランドを使っていて、窓口での手厚いサポートが必要なければ割と問題なく移行できるかと思います。
そうではなくて、すでにサブブランド含めた格安SIMサービスを利用している方は、本当にメリットがあるかよく確認する必要があります。
とにかく大量のデータ通信が必要な方は、メインブランドをそのまま使う方がおそらく安いです。個人の感想ですが、povo 2.0が意識していると思われる楽天モバイルと比較して、電波状況がうまくはまれば楽天モバイルの方が魅力的に感じます。ただ、問題は電波が…。自宅はそこそこ快適に楽天モバイルが使えているので、家から出なければ問題ないのですが…。
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