ラノベ感想:本好きの下克上 短編集1

読書,ライトノベル,異世界,香月美夜

ローゼマインがまだマインだった頃から、貴族院で図書委員になった頃まで、あの時、周囲の人々は何を想い、どう行動していたのか。

Kindle Unlimitedの対象になっていたので短編集に手を出してみました。今となっては懐かしい、まだマインが転生したばかりの頃の話から、貴族院までの外伝になります。

15人21篇の物語

この短編集1ではマイン(ローゼマイン)を取り巻く15名の視点による21の短編から成ります。家族であるトゥーリやギュンター、家族同然のルッツ、神殿の側仕えであるヴィルマ、貴族院で関わるリヒャルダ、ハルトムート、フィリーネ、ヒルシュール、貴族としての家族であるエックハルト、ランプレヒト、コルネリウス、領主一族としての家族であるヴィルフリートやシャルロッテといった多様な視点から、あの時周りはどう思っていたのかとか、ローゼマインとの出会いが語られています。

これを知らなくてもメインのストーリーの理解には問題ありませんが、より深みを与えてくれるサイドストーリーになっています。全部にコメントを入れることもできないので、いくつか心に残った短編を取り上げます。

ギュンター視点 娘は犯罪者予備軍!?

マインが森に行くことを許された日、せっかく作った粘土板をぐちゃぐちゃにされて初めて他人を威圧した時のお話を、父であるギュンター視点で語っています。

親としてきっちりと叱ろうとするものの、現場に居合わせたトゥーリは大反対。ルッツに聞いても不安になる話ばかりで、父親としては「俺の娘はどうなった?」と混乱したことでしょう。この時の話は巻末4コマ漫画にもなっているので、やはりインパクトが大きかったのでしょう。

いや、子供たちが無事でよかったです。

ハルトムート視点 運命の洗礼式

ハルトムートがローゼマインのお披露目となった洗礼式で初めてローゼマインと出会い、以下にして信奉するようになったかの話です。というか、かなりの危険分子になってますが、大丈夫なのか?

クリステル視点 お姉様とのお茶会

この短編でしか出てこない人物ですので、唯一、ローゼマインの周囲の人ではない視点になります。ローゼマインとエルヴィーラの画策したフェルディナンドの演奏会に母と参加した人物です。一家は中立派の貴族。姉はフェルディナンドと貴族院の同期で、最近ヴェローニカ派の貴族に嫁いだばかり。しかし、ヴェローニカ失脚により妹のクリステルはライゼガング派の貴族への婚姻になるのではないかと言われています。姉は夫から演奏会の参加を許されず、しかし、社交界がこの演奏会の話題で持ちきりなので、なんとか様子を探りたい、しかし妹はなかなかそれを言葉で表すことができない。あの失神者続出どころか失○者も出したという伝説の演奏会の裏側が垣間見れるお話になっています。しかも、エルヴィーラ様、義理の娘に劣らない商売っ気を発揮。商人聖女ならぬ商人騎士団長夫人でした。

ヒルシュール視点 特別措置の申請

ローゼマインがまだ眠りについていた頃、貴族院に間に合わないかもしれないために特別に入院を延期する申請を出す話です。結局、目覚めたローゼマインは突貫教育で貴族院で必要な知識を得たため、措置は実現されることなく終わりました。その時、あのフェルディナンドの過保護ぶりをみてヒルシュールが興味を持つことになります。まあ、それはフェルディナンドの事実上の師であるヒルシュールにしか分からないことで、本編や他の短編でも周囲はフェルディナンドのローゼマインへの態度を容赦ないと思っているのですが。後のフィリーネ視点の短編から、フィリーネは多少わかるようになってはきたみたいですけど。

フィリーネ視点 わたくしの騎士様

この短編では唯一3回登場のフィリーネ視点の短編の一つです。貴族院から戻ってきたフィリーネが弟を引き取るきっかけになった事件の当事者側の視点での話になります。ここでフィリーネは助けにきたダームエルに対して抱いた気持ちがメインです。

シャルロッテ視点 わたくしの課題

ローゼマインがヴィルフリートの第一夫人になることが決まり、シャルロッテが領主候補から他領へ嫁ぐことが決まった時のシャルロッテ視点の話です。貴族院1年目でシャルロッテは外交に大活躍しますが、その決意を固める話です。自分が男性だったら絶対兄のヴィルフリートには負けない(領主候補としても義姉ローゼマインの伴侶としても)との想いが伝わってきて、どうしてもヴィルフリートよりもシャルロッテを応援したくなってしまいます。ヴィルフリートも優秀を取れるくらいだし努力もしているのでしょうが、呑気と言うか、おぼっちゃま気質と言うか、長男気質と言うか。3番目のメルヒオールはまだ幼いこともあって甘えん坊な感じでも容量がよく、間のシャルロッテは色々苦労したりしてしっかりしているイメージがあります。

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