ラノベ感想:ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編9

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よう実も2年生編がいよいよ終盤。秋の修学旅行も終え、冬休み前の特別試験へ。2月25日に出た本巻ですが、積読がたまっていて1ヶ月近く遅れになりました。今まで、いくつかやっていたスマホゲームもほぼほぼ開かずに、ラノベ読書に時間を割くようにして挑んだよう実最新刊の展開は?

あらすじ

冬休みも近い二学期終盤、最後の特別試験である協力型総合筆記テストの実施が発表される。そんな中、学校からの要請もあって南雲生徒会長が会長引退を表明、2年生生徒会役員である一之瀬と堀北のどちらを会長にするかで綾小路と最後の勝負をすることを持ちかける。しかし、その思惑に反して、一之瀬は生徒会長を辞退するとともに、生徒会役員辞任を申し出る。一之瀬クラスにとっては不利にもなりかねない決断に、クラスメイトたちも一ノ瀬の思惑を測りかねてしまう。そのことに対する相談を一之瀬クラスの生徒から持ちかけられた綾小路は、一之瀬の真意を探ることに。

一方、3年生の鬼龍院は万引き犯にされかける。その犯人である生徒は南雲の関与を仄めかす。彼女に罪を着せようとしたのは誰か?その思惑は?鬼龍院からの求めで真相を探る綾小路から情報を与えられた堀北の新生徒会長としての資質が試される…。

落ち着きつつある堀北クラス、これからの一之瀬クラス

2年生になってから様々な試練を経た堀北クラスは、今やBクラス。Aクラスとの差もそれほど開いてはいない状況で、士気が上がっている状況。問題点や課題も多くはカタがついた感じで、安定して上を目指す状況。

一方、元々はBクラスだった一之瀬クラスはCクラスに低迷。リーダーである一之瀬が抱える公私の問題もあって、少々怪しい状況に。

そんなわけで、今回の話は一之瀬や一之瀬クラスが中心。堀北クラスは坂柳クラスとの対決ですが、そちらはおまけ程度。綾小路が一之瀬問題や鬼龍院の事件に巻き込まれて手を貸すあたりがクローズアップされてます。綾小路が堀北クラスとは違う道を進み始めたことを意図させる狙いがあるのかどうか。

その辺りはおそらく、2年三学期には結論か、あるいはそれに向けた引きで終わるのではないかと考えています。

堀北の成長

今回、鬼龍院の事件に関しては当人からの依頼もあって綾小路が情報収集をしましたが、その決裁は新会長である堀北の手に。最低限の情報だけを与えられた彼女がどういう判断を下すかを綾小路に試されたわけです。

それに対して堀北は見事に真相を究明。綾小路に操られた感はありますが、彼にとっても及第点だったのでしょうか。しかし、彼女も成長したものです。しっかりとリーダーとしての地位を確立しているよう。櫛田との正副生徒会長コンビの行方も気になるところです。

一之瀬帆波の復活

正直、今まで一之瀬帆波についての印象は「善い人」なんだろうけど…という感じでした。もっとも、よう実に出てくる生徒たちは一癖あるのが多いので、心から応援したいような生徒もいなかったのですが。それにしても、あまり個性がないようでハイスペックなモブというあたりの評価に止まってました。なんなら、やられ役かと思っていたくらいです。クラス全体一般的な基準で言えばよい生徒たちなんだけど、こういう仕組みの学校では上からも下からも食い物にされてDクラスに落ちてしまうような流れかと。

作者の真意は分かりませんが、過去の事件のこともあって自分がなく、他人のために動いている感があった一之瀬帆波。しかし、今回の流れから自分というものが出てきた様子。月並みな言葉で言えば欲が出てきたわけで。俄然、面白い展開になってきました。思えば1年生の時はこれが軽井沢惠だったわけです。心配なのはこうも女心を手玉に取る綾小路。卒業前に刺されるんじゃないかと。少なくとも、軽井沢に対しては恋愛を経験したいから御し易い彼女を相手に選んだ、という経緯ですから。ナイス・ボートENDにならないことを祈ります。

綾小路の、そして、一之瀬の次の一手は…

先に書いておくと、次の巻はお馴染みの冬休み編とのことなので、9.5巻になるようです。ただ、一見、箸休めのような0.5巻でも次への仕込みがされるのがよう実。今まで同様、三学期へ向けての仕込みがされるものと思います。

綾小路絡みの人間関係が不穏になってきた今、次はどう動くのか。決意を固めた一之瀬が公私で打って出るのか。その方向性が見える中継ぎ巻になりそうな感じです。

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