ラノベ感想:ようこそ実力至上主義の教室へ 2年生編8

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文化祭も無事に乗り越えた2年生。待っていたのは待望の修学旅行。今回は特別試験もなく、プライベートポイントがもらえるちょっとしたイベントがあるのみ。期待も膨らむところだが、ここにきて他クラスとの親睦を深めるとのことで各クラスから2名程度を集めた6〜8人のグループでの行動を強制されることに。綾小路のグループには龍園と、彼に何かと突っかかる坂柳クラスの鬼頭が一緒ということで波乱必須。さらには同クラスからのメンバーは櫛田桔梗。どうなる、修学旅行?

あらすじ

文化祭、期末試験も終わった11月。修学旅行の詳細が発表される。「修学」と言いつつ学問的要素は少なく、スキーと自由行動がメインの日程に浮かれる2年生たち。しかし、旅行中の宿以外での行動はクラスではなく、学校が割り振った各クラスから集められたグループでの行動が義務付けられる。学年末試験に向け、各クラスの探り合いも進む中、今までなかったクラス間の親睦を深めるかのようなイベントに生徒たちも困惑するが…。

学園ってどこにあるんだっけ?

修学旅行に出かける直前、羽田空港への移動に向けて待機する朝の気温が「5度を下回る」とのこと。あれ、学園ってどこにあるんだっけ?羽田に行くのだから首都圏近傍かと思うのですが、それで朝とはいえ気温が5度を下回る?11月下旬で?まさに今頃の話ですが、首都圏近傍の平野部では流石に11月下旬で5度を下回るのも稀です。

初日の日程からすると多分10時過ぎには羽田を出発、昼前に新千歳到着、そこからスキー場まで1〜2時間という流れかと推測。すると、羽田まで2時間程度でしょうか。気温的には都内なら八王子などの郊外、あるいは北関東3県の平野部などでしょうか。でも、設定上は東京の埋立地。東京湾ということになります。アニメでの校舎のモデルは千葉県千葉市の小学校らしいですが。東京湾内の埋立地から羽田空港では、お菓子食べる暇もなく到着しそうですけど。

スキーに温泉、ポロリもあるよ

えーと、11月下旬の北海道ではそんなに本格的にスキーができるのでしょうか?ちょっとまだ早い気もするのですが。スキーしないので知らんけど。

そんなわけで、特別試験もない平和な巻です。修学旅行がメインということで、綾小路すらちょっと浮かれた感じ。今までホワイトルームと学園での生活しか体験してないのですから、純粋に楽しむための旅行なんて多分生まれて初めてですよね。

そんな中でも、龍園は対坂柳クラスとの対決に向けて気合十分。早速、Aクラスから参加の鬼頭とぶつかります。ここ最近は綾小路が未知の他クラス生徒、特にクラスを率いるような主力でない生徒たちと絡む展開が多い感じもしますが、今巻でも新たな出会いが発生します。知らないことを知るってのを間接的にでも体験するのは面白いです。

特にあまりクラス間で競うような要素がないほぼ遊び目的の旅行ということで、雰囲気的には.5巻の感じ。そんな浮かれムーブに乗せられたのか、堀北、櫛田、伊吹ももはや単なるアホ娘3人組に。温泉でのやり取りは笑えたが、伊吹のキャラ崩壊が加速してないか笑
もはやアホ毛が見えるんじゃないかというくらいのアホの子に。1年無人島編の伊吹はどこへ?

一方で、綾小路の助けもあって龍園と櫛田の関係も精算。その流れでポロリと出た一言に…。明らかにフラグ立てたよね。やってることだけ見れば、その昔の伝説のボートアニメの最低男とあまり変わらない気もしてくる綾小路。いつか、ヒロインたちに刺されて終わるバッドエンドにならないかと心配になってきます。

匂わせというか伏線になってない伏線というか…

最近、地の文で語られる綾小路の思惑が匂わせとか伏線とかいうレベルで無くなってきた上に、だいぶ不穏な感じです。今回も規定事項という感じで色々語られていました。まあ、坂柳の言う通り、綾小路の思い通りになるとは限らないわけですが。

今回の章見出し、そして修学旅行のテーマが孫子から「敵を知り己を知れば百戦危うからず」とありました。そう言う意味で、綾小路も敵のリーダークラスだけでない生徒たちの一部を垣間見たことかと。ただ、そう言う意味で危ういのが綾小路自身が自分をわかっていないこと。もちろん、能力的な意味では自分の実力はわかっているでしょう。ただ、綾小路自身が自分の欠けている部分を認識しながらも、そこをあまり重視していなさそうなのが気になります。客観的立場で常に自分すらも見ていると言えば聞こえは良いのですが。欠けている部分を埋めようという意識もないようで。結局、ホワイトルームの限界を感じながら、それが自分にも当てはまることを無視しているような。

もっとも、ホワイトルームを否定するためには綾小路自体はあくまでもホワイトルーム的に立ち回らなければ意味がないわけです。なんだかんだで、綾小路自身にも非ホワイトルーム的な感情が生まれつつありそうな感じですが、それが結末にどう結びつくのか。はたまた、当初の想いを超えた何かを掴むのか。

とは言え、当座の関心事はやはり龍園対坂柳でしょうか。そこに綾小路や堀北クラスがどう絡むのか。あるいは、綾小路がついに物理的に動くのか。ほんと、息抜き巻と見せかけてサラッと重要なことをぶち込んでくるのが.5巻ですが、それを自然数巻でもやってくるとは…。

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