ラノベ感想:蜘蛛ですが、なにか?12
人魔大戦勃発。ついに魔族軍が複数ルートで人族領へ進軍開始。それぞれの拠点では魔族と人族の激戦が繰り広げられる。そして、魔王の願いを叶えるために「白 」も動き出す…。
あらすじ
魔族軍が人族の砦へ複数同時に侵攻を開始。ついに魔族の総力をあげた人魔大戦が勃発。
それぞれの想いを踏み砕きながら戦争が進む中、魔王、そして、勇者の想いはどうなってしまうのか…。
人魔激闘の第12巻
「白」の出番は最初と最後のみ
前巻はユリウス巻でしたが、今巻は各砦の攻防をそれぞれの立場からの視線で描いています。というわけで、所々、「白」が出てくるとこもありますが、基本は最初と最後のみの登場です。
近代戦の中央司令室のようなと言うか、リアルタイムで現地映像が見えるあたりはそれ以上とも言える特等席から魔王が状況を確認できるようにしつつ、ポイントポイントで介入する「白」がチートすぎます。まあ、これでも「神」ですから。
そして最後に語られる大戦の真実。最低限の目標はなんとか達成したものの、最大の目的と時点の目的を達することはできず。そこも何やら裏がありそうですが、先の巻で語られるのでしょうか?
勇者、散る
シュンパートですでに語られている「事実」ですが、勇者ユリウスは人魔大戦で散ります。そこに至るまでの勇者の最後の戦いが熱く描かれ、前巻に続いてはんば主役を持っていってます。人族のため、他人のために戦い続けた勇者の最後の戦いが奇しくも「ユリウス自身」の闘いとなり、その結果、自力でクイーンタラテクト(風の白の分体)を周囲の協力を得ながらとはいえ撃破したのですから、これはシステムを超えた奇跡ではないでしょうか。
そして、その直後、「白」の直接介入による淡白な描写。もう、何も言えません。
そして、少女の閉じられていた目が開かれ…。
「ユリウス」より
持ち主を失ったマフラーが、地に落ちた。
このマフラーは、「白」が底辺蜘蛛時代にマイホームでスキルアップに勤しんでいた時のもの。そして、魔王の「悪戯」とともに、次の勇者で転生者でユリウスの弟であるシュンに渡ることになります。まだまだ、因果は巡る様です。
「勇者」と「白」だけではない群像劇
構成上、かってないほどの人数の視点で語られる人魔大戦。それぞれの立場、追い込まれている状況、そしてあるものは生き残り、あるものは死し、あるものは勝ち、あるものは負けて再戦を誓い、と様々な戦争が描かれます。
書き出すとキリがないのですが、中でも魔王と「白」をして誤算と言わしめたアーグナーとブロウの最期が印象に残りました。
アーグナーについては、魔王と「白」に落ち度があります。何も説明していなかったのですから。まあ、「白」はコミュ障ですから仕方ない部分もありますが、失うことを嘆くくらいなら事前に対策をしておくべきでした。あるいは奢りとか油断かもしれません。恐怖で全てを押さえ込むことに徹底しすぎた報いかもしれません。
ブロウについては、登場時のよくない印象から意外と人情(魔情?)に篤い様子が描かれましたが、「白」の撤退要請に対する下りでブロウ株が爆上がりです。
魔王がなぜアーグナーとブロウを「白」を使ってまで回収しようとしたのかは語られていません。「白」なら何があっても問題ないでしょうし、おそらく当人もブロウの想いに反して危険はないと判断していたかと思います。それでも「勇者剣」もあるし、戦場では何が起こるか分かりません。その危険を冒してでも二人を回収しようとした理由。
しかし、全てが終わった後の魔族のために彼らが必要と判断していたのかと自分は思います。
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