ラノベ感想:天才王子の赤字国家再生術2 ~そうだ、売国しよう~

読書,ライトノベル,国家経営,天才王子,異世界,鳥羽徹

現在(2022年1月)、アニメ放映中。前巻はアニメの1〜2話、今巻はアニメの3〜5話に相当。

あらすじ

マーデンとの戦いに勝利し、冬も近いある日。帝国の新任大使と会談した摂政かつ王太子のウェイン。その場で出た妻帯の話が実績を作って早く帝国本土に戻りたい大使のモチベーションを上げるが、それが皇女の耳に届く。士官学校時代の悪友ロワこと帝国第二皇女ロウェルミナがナトラまで来訪し、ウェインに「悪巧み」を持ちかける。それはやがて帝国内の後継者争いと反乱計画、隣接する帝国領の侯爵との争いまで発展する。

ウェインとロウェルミナの「悪巧み」合戦の結末は

ウェインが帝国留学時に身分を隠して士官学校に通っていたことは前巻でも触れていますが、その時の学友というか悪友の一人であったロワが実は帝国第二皇女ロウェルミナであったことから始まる今回の話。帝国内の反乱を抑えるためにナトラ(とウェイン)を利用したいロウェルミナとそんな面倒に関わりたくないウェインが、互いに悪巧みで競い合う内容になっています。

もちろん、事態がウェインにとってはよくない方向に、でも周りにとっては良い方向に転がっていくのが本作品。二人の駆け引きに巻き込まれる形で、ナトラだけでなく隣接する帝国の侯爵にしてかつての反帝国連合の「裏切り者」アントガダル侯爵(元アントガダル王の息子)やその子息、帝国内で暗躍している勢力まで巻き込んであらぬ方向に転がっていきます。

ちょっとかわいそうなアントガダル侯爵家の人々

ウェインとロウェルミナの駆け引きに巻き込まれてしまったアントガダルの人たち。少しかわいそうな気もします。もちろん、The 放蕩息子ことゲラルトはじめ、自業自得ではあるのですが。あそこは3世代にわたって「親の心子知らず」を繰り返したわけで、因果応報と言うかなんと言うか。まあ、一番の原因はグリナッヘかも知れませんけど。そう考えると、The 放蕩息子も善人ではないですし、勝手に捻くれたとも言えますが、かわいそうではあります。結局、つまんないことで死んでしまったし、あれで生きていれば別ですが、どうにも憎めない人物です。

もっとも、ウェインもロウェルミナとの関係でかなりグリナッヘを煽った面もあったので、ウェインが無実とも言えませんけど。そもそも、グリナッヘにしろゲラルトにしろ、1巻のホロヌィエや3巻で出てくる選帝侯達に比べれば小悪人程度にしか見えませんし(ホロヌィエもどちらかと言えば小悪人かな?)。

ちなみに、アニメではアントガダル王が帝国側についた理由は語られておらず、原作でのみ触れています。そもそも、アントガダルのこと自体が尺の都合であまり深く触れていないので、なぜ王が帝国に寝返ったのかなんて誰も興味を示さないかと思いますが、そういう扱いの面でもちょっとアントガダルの人々がかわいそうに感じてしまいます。

国家経営作品として

今期アニメ作品としては「現実主義勇者の王国再建記(第2期)」があり、そちらも1期に引き続き見ています。原作はまだ2巻までしか読んでいませんが。

あちらは「そうだ、売国しよう」とは真逆でコミカルな部分もありますがシリアル成分が多め。戦いとか戦闘よりもだいぶ国家経営に関する話が多めです。国家経営といえば「転生したらスライムだった件」も多分にその要素がありますし、「本好きの下剋上」も領主の娘編辺りからその要素が強まりました。なんだかんだでそういう物語は好物だったりします。本作以外は転生ものですけど。

直接どんぱちやる作品よりも、国家の内政とか、国家間の駆け引きとかがある作品は好みです。そういう意味では小説ですが「導きの星」、「第六大陸」、「復活の地」なんかが思い出に残っています。この手の作品にそれっぽさを出すのはそれなりの知識が必要なので書く方は大変かと思います。特にアニメは「転スラ」2期が会議ばっかりと一部で酷評されたようで、どうしてもどんぱち好きが多いのでしょう。でも、こういう作品が好みの人間としては是非とも頑張っていただきたい。

それというのも、基本が「現代大戦略」に始まり、コーエー「三国志」、「信長の野望」や「Civilization」なんかをプレイするゲーマーだからというのあります。もちろん、「Wizardry」や「ブラックオニキス」、「ダンジョンマスター」といったRPGもやってますけど。

今後

アニメはすでに第3巻相当の6〜7話を過ぎ、第4巻相当まで進んでいるので、続いて3巻まで読み進める予定です。原作自体は11巻まで発売済みです。また、コミカライズも5巻が既刊で6巻が近々出ますが、こちらは原作3巻相当までです。アニメがコミカライズを追い抜いてしまいました。

そこからわかるように、アニメはだいぶハイペースで進んでいます。まあ、1クールアニメで原作1冊分が2〜3話というのは最近では当たり前とも言えます。その分情報量が原作>>>>コミカライズ>>アニメになっています。まあ、アニメは原作への導入と考えればこんなものかも知れません。

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