ラノベ感想:スライム倒して300年、知らないうちにレベルMAXになってました

読書,ライトノベル,森田季節,異世界,魔女

Kindle Unlimited活用月間(自称)ということで、何を読もうかと対象作品を見繕っていましたが、アニメを見て面白かったので原作に手を出してみました。これを書いている時点で、3巻まで対象になっています。

あらすじ

20代にして過労死した社畜女性が異世界に転生させてもらえることに。神様らしき人にかわいそうだからと好きな希望を出して良いとのことで不老不死でスローライフを送ることを実現してもらう。長閑な村の近くに住み始め、近くにはスライム程度しかモンスターも出ない。生活費を稼ぐためスライムを倒すこと300年、ギルド受付嬢の勧めでステータスを見てもらったらなんとレベル99になっていた。

それが周囲に伝わってしまい、ドラゴンが道場破りに来たり、身に覚えがない娘がきたり、他所のエルフに頼られたり。一人きりのスローライフを満喫していたものの、急に家族が増えて賑やかに…。

脱社畜、ゆるふわストーリー

前世が社畜の異世界ものはもう世の中に溢れすぎて、このままでは社畜が全て異世界に行ってしまうのではないかという勢いですが、本作も20代にして過労死した社畜女性が異世界に転生する話です。まあ、のんびり自給自足生活って社畜の夢ですよね。

昔は脱サラの王道はちょっとした店を構えてといったどこの「渡鬼」って感じでしたが、最近は地方とか、海外とかに移住して農業みたいな、農家からすれば何ふざけたこと言ってんだ的な夢も増えてきた感じです。
ちなみに、個人的な経験から社畜といえばIT系のイメージがありますが、本作の主人公、梓の前職って何だったんでしょう。「聖女の魔力は万能です」の主人公も女性ですが前職が(少なくともコミックでは)よくわかりません。何にせよ社畜といえば男性というのも時代遅れなのでしょうね。個人的には社畜女性にお目にかかったことはありませんが、そもそも女性が少ない職場だったからなぁ。昔ならキャリアウーマンというのがありましたが、あれと社畜はまた違うと思うし。

閑話休題。なにしろ社畜で過労死した前世を持っているので、本作の主役、魔女アズサは自分にも他人にも頑張らないことを求めます。勢い、バトルだの成長だのとは縁遠いゆるふわな世界になっております。まあ、トラブルは発生してちょっとした戦いみたいなものもありますが、なにしろ神様?に憐れまれて得たチートな不老不死と経験値1のスライムを大虐殺して得たレベルがあるので、基本的にワンパンで終わってしまいます。

魔女と魔法使いは違うらしい

アズサの肩書きは「魔女」で、世間にも「高原の魔女」として知られています。で、彼女自身も魔法が使えるので紛らわしいですが、魔女と魔法使いは男女の違いとかではなくて(この世界では)根本的に違うそうです。

魔法をぶっ放すのが魔法使いであって、薬とかを作るのが魔女だとか。さて、魔女の男性版はどう呼ばれるのでしょう?魔術師?

まあ、現実世界でも魔法なんてものはないことになっているので、かつて魔女と呼ばれた人たちも魔法は使わずに、もっぱら怪しげな毒や薬を作るとか、呪いをかけるとかです。魔女=魔法を使う女性という一般認識の方がおかしいのかもしれません。
蛇足ですが、看護婦が看護士、スチュワーデスがキャビンアテンダント、女優が俳優と、色々な職業が言い換えられている昨今ですが、魔女もそのうち使えなくなるのでしょうか。まあ、その割にいまだに女子アナはそのままですね。この種の言い換えって、なんか多様性に反しているような気もしているのは個人の感想です。

アズサについては、なにしろいつの間にか覚えていた魔法なので、調節がなかなか難しいらしく、威力も予想できないので、よほどのことがない限りは物理攻撃が主体だったりします。なにしろ、ドラゴン相手に繰り出した技が「魔女の踵落とし」ですから。その癖、魔法を創作できるスキルなんて持っているので、つくづくチートすぎます。何かに目覚めちゃったりすると勇者でも魔王でもなれそうです。

わかる人にはわかるが、伝わらない人には伝わらないか

その昔、日常系と呼ばれるラノベやアニメ作品が流行りましたが、本作もそういう流れでしょうか。異世界という非日常な世界での日常というややこしいものですけど。前世でも今世でもボッチだったアズサ。もちろん、前世と今世では同じボッチでも望まないものと、望んでなったものと違いはありますが、そこで仲間というか家族を手に入れていきます。ある種、理想郷ではあります。当然、異世界でスローライフなんて実現できないことですが、現実でもスローライフを送りつつ気のおけない仲間だけでのんびりゆったり暮らすなんてことはなかなか難しいです。結局、人が集まれば諍いも起きますし。

そういう世界を垣間見れるという意味ではなかなかない作品かと思いますが、そういうのを特に望んでいない人にはどこが面白いの?となりそうな気はします。

常に成長を求められる現実ですし、そこから完全に逃れることはなかなか難しい場合も多いですが、物語の世界くらいはのんびりまったりすることがあってもよいかと思います。そんなことで成長しないだろと言われても、いつかはレベルが上がってるかもしれません。まあ、普通の人は300年生きられませんけどね。

とりあえず1巻読んでよかったので、とりあえずUnlimited対象の3巻まではこのまま読もうと思っています。その後、そこまでにするか、購入して続きを読むか、続刊のUnlimited化を待つかは、3巻を読み終わってから考えます。

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