ラノベ感想:ギルドの受付嬢ですが、残業は嫌なのでボスをソロ討伐しようと思います3

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すべての社畜に贈る、理不尽をなぎ倒す(物理)スーパーヒロインの物語。ギルド受付でのアリナとライラの残業時間が問題となり、働き方改革を行うことに。良い提案をすればお誕生日休暇がもらえるという特典のため、残業を片付けるヒントを得るために、伝説の受付嬢が講師をする受付嬢の泊まりがけの新人研修に参加することにしたアリナとライラ。しかし、研修会場のギルド本部はお化けが出るという噂がある曰く付きの場所だった。
アリナはお化けに負けず残業克服の名案をゲットできるのか?

あらすじ

相変わらず残業に追われるアリナの残業時間が問題となり働き方改革をすることに。そんな中、新人研修を受けることになったライラの資料から伝説の受付嬢と呼ばれる人物が講師となることを知ったアリナは上司に「お願い」して研修に参加することに。しかし、研修会場のギルド本部・研修棟はお化けが出るとの噂があった。一方、黒衣の男を追いかけているジェイドはある人物がそうなのではないかと疑いをかける。確信はないなか胸騒ぎがおさまらない彼と「白銀の剣」にも受付嬢研修の特別講義の模擬戦闘で講師をするべくギルド本部へ。
ギルド本部に全ての謎が収束する。

お泊まり研修死神付きの第3巻

働き方改革という幻想

いや、残業を語る上で忘れていけないのが働き方改革ですね。自分も現役時代、散々やりましたとも。働き方改革なんて言葉がない時代から、人は増やさないが残業は減らせ、って上からは散々言われましたから。今回アリナも言ってたかと思いますが、そんなうまい話はありません。

余程ずぶずぶのゆるゆるの勤務管理で無駄なことをしまくって改善の余地が有り余っている現場ならできるかもしれませんが、普通の職場はある程度は効率化とかした上で、仕事量の多さに押しつぶされているのが当たり前ですから。あとはチリツモでなんとかするしかないのが現実です。

それはアリナもわかっていたはず。そのはずなのに…残業で疲れた頭でついつい飛びついてしまいました。伝説の受付嬢にどうやって残業を克服するか聞けば良い!と。その結果どうなったかは、読んでのお楽しみということで。残業沼にハマっている人ならどういう結末になるかはお察しかと思われます。

それはさておき、この辺りの記述とか、わかる人は膝を打つことでしょう。

おや、とアリナは目を瞬いた。てっきり、『上から怒られちゃったから残業禁止。だからって業務量を減らしたり人員を増やしたりは特にしないし具体的な改善案も全然ないけど、とにかく就業時間内に終わるようになんとかしてね』などという理不尽極まりない”時短ハラスメント”をかまされると思っていたが、どうやらそうでもないらしい。

研修中も問題が発生

さて、研修の間は決められた時間しか拘束されないと思っていた二人。しかし、現実は甘くありません。新たな大型ダンジョン発見の報が入り、研修明けが恐ろしいと思っていた二人の元に上司から未処理書類の山が届きます。

研修の講義は絶対定時で終わるし、残業もない-そんな”研修神話”が、音を立てて砕け散った瞬間なのであった。

まあ、確かに基本的には研修は定時に終わります。が、結構押すものもあるのですよね。以前受けた研修は講義の後もエンドレスでしたよ。
それはさておき、研修から戻って仕事した経験なんていくらでもあるので、こんな”研修神話”を信じるなんてアリナさんもまだまだですね(そっと目を逸らしながら)。

黒衣の男の登場

そして現れる黒衣の男と研修棟の謎の正体。それは読んでもらうとして、バトル突入です。ただ、今回は前2巻と比べると緊迫感と絶望感が薄かった気はします。戦闘描写自体も割とあっさりだったような。まあ、前巻でアリナの神域スキルの上が発動するのはわかっていたことなので、この状況をなんとかできるとはわかっていたので。それよりはジェイドの繰り出した一手が「なるほど」と。そんなことができるというのは考えてもいませんでした。

そして謎は残った

黒衣の男の正体がわかってこれでひと段落かと思いきや、更なる黒幕の存在が明かされます。と言うか、彼にそれを勧めたのはあの人物であることは明示されているのですが、黒幕はその人ではないのでしょうか。さらには、最後の最後でまたとんでもない爆弾の存在が明かされました。まだまだ、アリナの定時帰りは遠そうです。

蛇足:公式略称はギルます

後書きに書かれていましたが、公式の略称が決まったようです。タイトルの最初と最後の2文字ずつを取って「ギルます」です。タイトルといえば、今巻も例によって残業にブチギレたアリナさんが討伐に向かうところから物語が始まりますが、「白銀」の3人と一緒でソロじゃないのですよね。なぜ誘ったかのあたりは語られてませんけど、タイトル通りのソロ討伐はもうしないのですかね?

公式サイト

いつの間にかコミカライズもスタートしていました。すっかり出遅れました。