ラノベ感想:リビルドワールド I<上> 誘う亡霊

読書,ナフセ,バディ,ライトノベル

スラム生まれの孤児であるアキラは無謀にも一旗上げるためにハンターとなり「遺跡」へ向かう。目的もなく彷徨う彼が出会ったのはアルファと名乗る実体はないのに圧倒的な存在感を放つ謎の美女だった。ハンター未満の孤児と彼にしか見えないバディの成り上がり物語が今始まる。

あらすじ

スラムで育った孤児のアキラは現状を抜け出すためにハンターとなって「遺跡」探索をすることを決意。この世界では勝手高度な文明が栄えていたが、今ではそれらは失われている。旧文明の「遺物」はほとんどが使い方もわからず、わかったものも再現は不可能。その遺物をかっての文明の生活の場であった「遺跡」から持ち替えれば莫大な富が得られることもある。しかし、「遺跡」ではかっての警備ロボットや生物兵器が目的を失って見境なく見つけたものを攻撃するモンスターと化していた。そんな「遺跡」から遺物を持ち帰流のがハンターである。

ハンターになると決めたものの、孤児のアキラはなり方も知らなければろくな武器も装備もない。そんな無謀な「遺跡」探索の中、彼は存在感は圧倒的なのに実体がない謎の美女、アルファと出会う。アルファは自分の依頼をハンターとして受けてほしい、それは非常に難しいが報酬の先取りとしてその依頼をこなせるだけの訓練やサポートを行う、というもの。

不信感はあったが、他に道のないアキラはその依頼を受けることにする。その先に何が待ち受けているのかも知らずに…。

なろう系サイバーパンク

リビルドワールドとは

元々はWeb小説サイトにて連載され、2019年に書籍化された作品です。刊行当時に1巻上下を既読ですが、Kindle Unlimited対象になっていたので、続刊を読むかどうかを検討するために読み直してみました。

レーベルは電撃ですが、いわゆる電撃文庫ではありません。2019年に新設された「電撃の新文芸」という従来のラノベとは少し違う位置付けをされているレーベルで、本作はその初期の作品の一つです。書き下ろしがメインの電撃文庫とは異なるWeb系という位置付けのようです。ただし、既存の電撃文庫作家もわざわざWeb系小説サイトで連載してから書籍化とか、そここだわるの?みたいな不思議なことをしています。

現時点で8冊が刊行されています。I、II、IIIまではそれぞれ上下巻に分かれていますが、IV、Vは分けるのを止めたようです。上下巻でもサブタイトルは異なるものになっているので、最初から通番にしてくれた方が分かりやすかったのですが…、Web連載の区切りと紙書籍の分量のすり合わせの都合でしょうか。IとIIの上下は間が2ヶ月でしたが、IIIは他と同じ4ヶ月ペースになり、IVは6ヶ月、Vは5ヶ月と間が開き気味になっています。

また、コミカライズも半年ちょっと遅れで始まっており、こちらも2021年8月に小説版と同月に最新刊が出ています。こちらも年2冊ペースです。

なろう系といえば異世界ものというイメージが強い中、本作はSFサイバーパンク風作品になっています。風としているのは書いている自分が何を持ってサイバーパンクなのか理解していないため。WikipediaでもSFサイバーパンク作品と書いてあるので、おそらくそうなのでしょう。

Webでの連載は2017年とのことなので、仮想現実(AR)とかヴァーチャルアシスタントとか、今でも通じるネタを使っているのが特徴ですが、サイバーパンク=ネットの海は広大だわをイメージすると、少し違う作品となります。TV CMとかでゾンビを撃ちまくるゲームのものがありますが、イメージとしてはそれに近いです。別に襲われた一般人がゾンビ化するわけではないですけど、それを生物兵器とかロボット(暴走状態)に置き換えたと思うのが一番近い気がします。

アキラとアルファ

さて、本作では無謀にも孤児のアキラが「遺跡」に足を踏み入れるところから始まります。一応、ハンターとしての登録をしていますが、紙切れ一枚で「ハンター見習い予備軍」程度の存在です。ろくな武装もなく拳銃1丁で、防護服のようなものも当然なし。I下のサブタイトルが「無理無茶無謀」ですが、幕開け時点で無理無茶無謀です。

そんな彼が「遺跡」で出会ったのがアルファ。I上のサブタイトル「誘う亡霊」とは彼女のことです。彼女の本体がどこにあるどういう存在かはこの時点では一切不明です。明確になっているのは以下だけです。

  • 触れることができない仮想現実(AR)の存在である
  • 誰でも彼女が見えるわけではなく、先天的か後天的な条件が存在する(アキラはそれに合致している)
  • アキラが知らない事を知っているのは当然として、裏の事情にも通じている(が、世事には疎い)
  • アキラの活動範囲内では今の所どこでも出現可能
  • アキラ以外にも彼女が見える人がいる(そこから誘う亡霊の都市伝説が生まれている模様)
  • 彼女は「契約」によってサポートレベルが変わる。より深いサポートを受けるには本人の「承諾」が必要
  • 現在アキラが拠点としている遺跡では手厚いサポートができるが、他の遺跡ではサポートレベルが落ちる(らしい、そうアルファがアキラに説明しているだけなので真実は不明)

一種のバディものですが、作中の様々なところでアルファに「思惑」があってアキラを自分の利益のために本人に悟られずに誘導していることを匂わせています。そういう関係性がどうなっていくのかも、おそらく見どころなのかと思います。それは先を読んでみないとわからないですけど。

アキラと周囲の人物

スラム育ちで、諍いを避けるためにも他人と距離を置いて生活していたらしいアキラ。I上の中でも幼馴染みたいな古い知己がいるような描写は一切ありませんし、確かI下にもなかったと記憶しています。そのようなわけで、彼の人間関係はハンターになって以後にできたものとなります。その中でも今後も登場するであろう人物たちは以下くらいでしょうか。

  • 行きつけになるハンター向けの店の店主、シズカ
  • アキラを襲ったスラムの徒党(ナワバリをもつヤクザみたいなもの)の生き残りで、彼を後ろ盾として徒党を組むことになった少女、シェリル
  • アキラに助けられたり助けたりする関係となる二人組女性ハンター、サラとエレナ
  • アキラと共にモンスターとの死闘を生き延びた商人、カツラギ

なんとまあ、そのほとんどが女性です。後述する特設サイトの人物紹介にもアキラとアルファ以外で10人が紹介されていますが、男性は2人だけです。まあ、I時点では出てこない人物も多いし、全員がアキラを意識するみたいな話でもないですけど。

そんな中でも注目しているのがシェリルです。彼女はI下の時点ではアキラに振り回されるばかりで、それでいて下からの突き上げもあったりして、中間管理職の悲哀を若くして漂わせる存在です。アキラとしてはシェリル個人は支援するが徒党のことは自分の感知することではないというスタンスですし、現時点でシェリルにも大した興味があるわけでもなく、嫌々ながらアルファの思惑によって最低限の面倒を見ているだけだったりします。それがI下あたりから徐々に変化していくので、アキラの成り上がりの話であるとともに、シェリルの成り上がりにもつながっていきそうです。

今後の期待

I下までは昔読んでいるし、コミックの連載も見ているので、その範囲では先もある程度知っています。そんな状態で、Iの上下がKindle Unlimited対象になっていたので、昔を思い出して続きを読むかどうか判断するために今回読み始めました。II以降もKindle Unlimitedで読めるのであれば迷うこともないのですが、残念ながら対象外なので続きを読むには買わないといけないので。

Iの下も読んで決めようとは思いますが、Web系のためか分量が多いのですよ。分量が多くてもどんどん読み進める作品もあれば苦にならないのですが、Iの上は個人的にそこまで読み易く感じませんでしたし、Iの下も同じだと思います。とは言え、コミカライズはそこそこ面白いので原作も読んでみたいような。分量が多いので単価も高いのもネックの一つだったりします。それでもIIの上下くらいまでは読みましょうか。

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Posted by woinary