リスク管理について

ライフスタイル,リスク,リスク管理

緊急事態宣言が東京都、大阪府、兵庫県に出ている中で、リスク管理というものについて書いてみます。リスクを危険と思っていませんか。リスク管理におけるリスクは必ずしもマイナスのものだけでなく、プラスのものも含みます。そんなリスクとは、リスク管理とは、というあたりを書いてみます。

本記事は2021/4/26にnoteに投稿した記事を加筆修正したものです。リスク評価と対応策について追記しています。

リスク=危険、ではない

一般的な辞書を引くと、リスクは危険と書いてあります。goo辞書を見てみましたが、こちらではもう少し詳細になっており、「危険の生じる可能性」とあります。さらに「予想通りに行かない可能性」とあり、だいぶリスク管理におけるリスクに近い説明になります。ただ、例文を見ても、どうしてもネガティブなイメージを受けると思います。

リスク【risk】 の解説
1 危険の生じる可能性。危険度。また、結果を予測できる度合い。予想通りにいかない可能性。「リスクを伴う」「リスクの大きい事業」「資産を分散投資してリスクの低減を図る」
2 保険で、損害を受ける可能性。
ーgoo辞書(小学館のデジタル大辞泉)より

リスク管理の専門家の中にも「プラスのリスクはない」という方もいますし、何らかの企業、団体、プロジェクト等に関わっている方は、そちらの定めるリスクの考え方に従っていただくとして、一般的なリスク管理としての自分の考え方を書いていきます。
なお、今後単に「リスク」と書きますが、それはリスク管理におけるリスクを指しており、一般名詞としての危険の意味のリスクではありませんので、ご了承ください。

そうは言っても英英辞書でも以下の様になっており、基本悪い意味なんですよね。

risk
1 [countable, uncountable] the possibility that something bad, unpleasant, or dangerous may happen 類義語 danger,
ーロングマン現代英英辞典

直訳すると「何か悪いこと、不快なこと、危険なことが起こる可能性」でしょうか。ほら、やっぱり悪いこと(マイナスのこと)じゃないかと言われてしまうかもしれません。でも、悪いことってなんでしょう?それって結局人間の主観です。結局、上記の説明も一般的な英単語の意味の説明です。

予想外のことは皆リスクである

例えば、今、緊急事態宣言が一部の都府県に発令されています。4/25から5/11までが当座の期間とされています。これについて、延長の可能性についての議論があり、識者からも指標を満たさなければ延長もあり得るという話が出ています。これはわかりやすいリスクかと思います。なので「宣言が延長されるリスクがある」という言い方をされても、そらそうだと思うかと思います。

では逆に、感染者が急減したとします。現状、なかなかそんなこともないと思われるので宣言の繰上げ解除の議論はあまり見たことありません。早く解除される分には良いことなので、リスク管理として考えなくて良いでしょうか?危険とか危機ではないので、そういう考え方もあり…な訳はありません。

先ほど、宣言の延長のリスクと書きましたが、これは正確には誤りだと自分は思います。延長されるというのはリスクではなくて、リスクの結果の対策です。もちろん、これは立場によって変わります。例えば、時短営業や休業を強いられている飲食店、施設等から見れば、宣言延長はリスクの一つです。ただ、政府とか分科会の立場で言えば、リスクではありません。今回の話は、こういう立場でのリスク管理をしている、と考えてください。

例えば、新規感染者数というパラメータを考えて見た場合、可能性として考えられるのは、(1)増加、(2)変化なし、(3)減少です。これは大雑把な話なので、実際にはもうちょっと細かく、考えるはずですが、話を単純化するためにあえてこの3つにしています。ちょっと大雑把すぎますが、まあ、これ以外の可能性はないと思います。これがリスクです。

この3つのリスクに対して、例えば(1)だったらもっときつい対応が必要であるとか、(2)ならば宣言をそのまま延長しようか、(3)ならば宣言を解除しようか、あるいは、期間満了を待たずに制限を緩和しようか、などといった対策をあらかじめ決めておくのが、リスク対策です。この2つがセットでなければリスク管理にはなりません。リスクだけあげつらってそれで終わるのでは意味がありません。今後起こり得る様々な状況を想定し、それに対する対応を考えるのがリスク管理になります。

リスクは過去でも現在でもなく、未来のこと

もう一つ勘違いしてはいけないのが、リスクはあくまで可能性であって、今現在起きていることではありません。もちろん、リスクを考えるにあたり、過去の出来事を考慮したり、現在の状況をきっちりと把握しなければリスクを考慮したことになりませんが、すでに起きていること、起きたことはリスク管理で管理すべきリスクではなくて、すぐにでも対応しなければならないことです。

例えば、大阪府では重傷者用の病床が不足しており、本来なら入院しなければならない人が入院できなかったり、ECMOを使うべき人が使えなかったりする事態が現に起きているそうです。これはリスクではありません。所謂、危険、危機といった意味ではリスクなのかもしれませんが、リスク管理におけるリスクの段階は過ぎています。

一方、東京都はまだそういう状況にはなっていないと聞いています。なので、検討すべきリスクとして「重症病床の不足」、「ECMOの不足」といったことが考えられます。上述の通り、リスクをあげただけではリスク管理ではないので、そのためにどう対策するかを考えるところまでがリスク対策です。遠足や旅行は家に帰るまでとはツアコンの人もよく言ってました。なので、例えば、あまり考えたくはないでしょうが命の選別と言ったことも視野に入れておく必要があります。日本ではこういうことを言うと不謹慎とか騒ぐ人達も多いですが、考えなしにそういう事態に突入して現場が混乱するのが良いのでしょうか?

実際、今回の東京都の緊急事態宣言にあたり、ある業種が休業対象になるのかどうか、東京都のホームページの中でも場所によって見解が一致していないそうです。実際に判断する店舗の人が困っているのです。それに対しては、もちろん、都の不手際なのは確かですが、原因を深掘りすれば、この1年間、感染者が急増した際の対応について考えることを避けてきた結果です。
変異株が生まれることは最初からわかっていたし、その際に感染力や病状への影響が出ることもわかっていました。なのに、対応方法はわかった、ピンポイントにここだけ絞れば大丈夫と2回目の「ゆるい緊急事態宣言(と言う単語自体がおかしい)」の結果がこの体たらくです。
政治や行政は変異株のせいにしていますが、とんでもないです。変異株によって感染者が急増したことはまあ仕方ないとしても、わかっていたことから目を背けて、あらかじめこう言う対応をする、といった当たり前のリスク管理をしていなかった結果です。
コロナ対策を一つのプロジェクトと見た場合、明らかにリスク管理の失敗です。悪いことも良いことも含め、こういうケースが考えられるので、それぞれの場合にこうした対応を取ります、というのをあらかじめ決めておくのがリスク管理です。もちろん、想定してもそれを超えた事態というのもあります。また、想定はしていても全てのリスクについて対応を事前に決められないこともあるでしょう。ですので、リスクをあげた上で、優先順位をつけて対応をするのもリスク管理です。

リスクの評価と対応策

リスクを洗い出すだけでは意味がないので、対応策を立てることになります。ただ、あげたリスクを全て対策を取ることは難しいことも多いでしょう。

リスク自体は可能性の高いものから低いもの、頻度の多いものから少ないものまで、一通りリストアップしておくに越したことはありません。それらについて、ではどう対応するのかしないのか、といったことを評価する必要があります。横文字で言えばリスクアセスメントですね。

リスクを評価する対象によって、どう評価するかは違ってくると思います。とは言え、ベースになるのはリスクが現実のものになった時の影響度や頻度等から優先順位をつけて、高いものから対応策を考えていくことになるかと思います。例えば、頻度を多い、中くらい、少ないの3段階、影響度を大、中、小の3段階で考えます。多頻度、影響大のものは明らかに対応が必要と考えられます。少頻度、影響小のものは対応は不要そうです。少なくとも慌てる必要はないでしょう。

多頻度、影響小や少頻度、影響大をどう考えるのかはそのリスク評価の対象や上がったリスクの中身によりけりなので一概には言えませんが、できれば基準は決めておいた方が良いと思います。あるいは、頻度や影響度とは別の第3の指標というものもあるかもしれません。例えば、いくつかのチームに分かれているプロジェクト内のあるチームのリスク管理を想定すると、チーム外に影響するものは頻度や影響度が低くても対応すべきかもしれません。

手直しは必要としても、あまりコロコロ変えることはないようにしつつ、対応が必要となる基準をあらかじめ決めておいた方がその場になって慌てずに済みます。

まずは見える様に

とまあ、ここまでリスク管理について書いてきました。ここまでしっかり考えていなくても、ある程度は考えているとは思います。

リスク管理について最後に重要だと思うことを書くと、これを一部のメンバーだけで閉じてしまうのではなく、プロジェクトに関わるメンバー全員で共有することです。いくらしっかりと漏れなく網羅したリスク管理ができたとしても、それを実際に行うメンバーに、その時になってこうしなさいと伝えられても、困るケースも多いでしょう。事前の共有なしだと、せっかくきちんとリスク管理していても、唐突感があり、後手後手の場当たり対応しているように受け取られることもあります。それはお互いにもったいないです。

リスク管理の3原則

最後にまとめると、こんな感じでしょうか。

  • よいことも悪いこともひっくるめて、起こり得ることは全てリスクである
  • リスクを上げるだけでなく、対応もセットで考える。
    • 全てができないならそれが起きた時のインパクトや起きる確率、影響度合いをもとに優先順位をつける
  • 立てたリスク対応計画は皆で共有する

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